最後の贈り物
勝利だギューちゃん
第1話
クラスメイトだった、女の子が天に召された。
不慮の事故だった。
「来月、君の誕生日だね」
彼女の問いに僕は答えた。
「うん、そうだけど・・・。何かくれるの?」
冗談半分、本気半分で訊いてみた。
「うん、特別なものを、プレゼントするから待っててね」
「うん、期待しないで、まっとく」
「ひどい」
一か月前の事・・・
それが、生前の彼女との最後の会話になった。
彼女といっても、恋人という意味ではなく、3人称を示す彼女・・・
仲がいいとは、彼女は言っていた。
でも、僕はそれほど親しいとは思っていなかった。
よく、アイドルが、「私は、ファンの子たちとは仲良しです」と社交辞令で言うが、
まあ、そんな感覚だろう・・・
そう、認識していた。
そして、それから3週間後に、彼女は逝った。
「約束は、果たしてくれなかったな・・・」
期待をしていたわけではない。
不謹慎だが、彼女が用意していてくれたのは何か・・・
それが気になった。
通夜や葬儀では、クラスメイトたちが、泣いていた。
これは、義理ではなく、心底からの悲しみだろう。
それに反して、空は日本晴れだった。
生前の晴れ女ぶりを、ここでも発揮していた。
それから数日、僕はひとつ歳を取った。
そこへ、宅配便が届いた。
僕宛で、日付指定で今日、僕の誕生日になっている。
差出人は、彼女だった。
配達日は、彼女が事故に遭ったあの日。
これを出した直後に、逝ったのか・・・
中を開けてみる・・・
そこには、たしかに特別なものが入っていた。
そうだよ・・・確かに特別だ・・・
これほど、嬉しいものはない・・・
僕と彼女のぬいぐるみが入っていた。
結婚式の時の、あの衣装を着たぬいぐるみが・・・
そして、手紙が添えらていた。
【○○くんへ
おどろいた?
これ、冗談じゃないよ。
いつか、本当になろうね。
これ以上は、女の子から言わせないでね。
男の子なんだから・・・
私は、本気だよ
あなたの未来のお嫁さんより】
そんなのってありかよ・・・
これも、彼女なりの冗談かもしれない。
そうであってほしい・・・
でないと・・・
僕は、このぬいぐるみと手紙を持ち、彼女の待つ家へと、向かった。
この目で、真相を確かめよう。
それが、マイナスとなることになっても・・・
最後の贈り物 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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