第4話
僕はメモリーカードを作リ方を調べるために、パソコンを起動する。
僕は”作る”側ではなく”修理する”側なのだ。作り方なんてわかるはずもない。無から有を作るのは苦手だ。ゲームにしたってそうだ。考えることを放棄してすぐに攻略サイトを覗いてしまう。
テスト? ああ、それはべつだ。勉強なんて慣れだ。コウキや先生は「お前はおかしい」と口を揃えて僕に言うけど、何がおかしいのかさっぱりだ。
機械人形 メモリーカード 作り方
キーボードを素早く叩き、検索ボタンをクリックする。
すると、たくさんのサイトやツール、アプリが出てきた。
作り方、と言ってもたくさんあるらしい。
簡単な方法で作れば、時間はかからないが、さくっと作れておすすめらしい。だが、容量が少なくなってしまうというデメリットがあるようだ。
反対に、難しい方法で作ると、時間がかなり(一ヶ月以上)かかるが、容量はそこらのパソコンを軽く上回るらしい。つまり、時間に余裕のある人もしくは、ハイスペックでないと目的が達成できない人がこの方法でメモリーカードを作るらしい。
僕は、遠足や旅行は、出発する前の準備が好きなタイプの人間だ。
プラモデルは作っているときが一番楽しい――ってこれは誰でもか。
僕がどちらの方法を選んだかなんて明らかだろう。
もちろん後者だ。それに、ロースペックだと、溜まった情報を処理するペースが早く、面倒だから。ちなみにハイスペックなやつだと、何十年に一度の処理で済むらしい。まさに、僕のような面倒なことが嫌な人間にピッタリなわけだ。
面倒なことが嫌いなのに何故準備が楽しめるのかって?
答えは簡単。その面倒なことが終わった直後に楽しいことが待っているから。答えになったかな。
作り方を一通り調べた僕はパソコンに、プログラミングに必要なアプリをインストールする。他にもプログラミングに使うアプリはあるけれど、それらは全て修理用である。いまインストールしたものは作成用だ。
このアプリをつかって、人形の基本的な動作を組み込んでいく。昔と違って今は科学が発達しているので、人形もウィーン、ガシャン(語彙力)と動くのではなく、本物の人間と同じようにヌルヌル(語彙力)動くのだ。
ただ動くだけじゃロボット止まりである。僕は手を抜きたくないので、この人形にAIを搭載させたい。
街に存在するロボットたちは事前にプログラミングされたデータを元に仕事を行っている。AIが搭載されているロボットなんてほとんどみたことが無い。思い出せないので、そんなに種類がないのだろう。
必要なものは、プラスチックを加工する道具、アプリを使ってプログラミングをできる人、もしくは技術。それからAIを組み込む技術。
ちなみに、いくら頭が良いからと言って、何でもできるわけではなく、僕のような”修理する”側の人間は、プラスチックを加工するのが唯一できることだ。
だが僕は、この人形を自分の手で作って、自分の手で動かしたい。
プログラミングも、AIを組み込むことも、できないことはない。ほぼゼロからのスタートだ。いや、まだスタート地点に立てているのかすら怪しい。
コウキならプログラミングも一応できるし、コウキに教えてもらうのもありかもしれない。コウキは”作る”側だから授業くらいしっかり受けているだろう。
そこまで考えて僕はなんとなく人形へと視線を向ける。
腰まで届くような長い黒髪、透き通るように白い肌。それも鉄や布ではない。しかし、少し傷ついている。整った顔立ち。綺麗というよりは可愛いに近い感じ。
服は――着ていない。
オイルを入れるときに手当たりしだいに破いてしまったからだ。
僕は乱暴に破られたワンピースをみながら、服も買わなきゃ。なんてのんきに考えた。
さて、明日も学校がある。どうせ授業はロボットが行っているし、サボっていても怒られることはない。そのかわりに要注意人物としてマークされてしまうのだけど。
しかしそれはサボっているのがバレてしまったときのこと。バレなえれば大抵のことはオッケーなのだ。
授業はパソコンが主に使われているのだ。ノート? 何だいそれは。
とにかく、毎日居眠りばかりしていて暇そうなコウキに、チャットアプリで詳しく説明してもらうとしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます