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 ルイとマイクが主催したパーティは、マクレガー夫妻による主催へと成り代わり、そのまま行われることになっていた。しかし兄弟の姿はなく、そのことに関してフラムは「人に見せられる顔なら出てくるでしょう」と意味深なことをささやいた。いくら傲慢で横暴な従兄弟だからといって、大学や社交界でもてはやされた顔の形が変わるのを、自分が木材やガラス片を叩き込んだのを棚に上げて哀れに思うイリスだ。


「ああ、心配だわ。私のトゥイ語、ちゃんと聞き取ってもらえたらいいんだけど」

「心配ありません。私がつきっきりで教えたでしょう?」

「またオウムになってね」落ち着きなく手を動かしていたイリスはちらりと彼を睨み、フラムは彼女に笑いかけた。その唇がどんなに優しいか、その胸がどんなに厚く温かいかを知らされただけあって、イリスのトゥイ語力は格段に上がった……はずだ。

 今日のフラムは、トゥイの王族のような、きらびやかでありながら風格のある衣装に身を包んでいる。イリスはあのドレスで、体調からメイクまですべて整えて、見劣りしないように備えたつもりだ。


 だがパーティ会場に一歩踏み入れた途端、人々の目が集まって、膝が動かなくなってしまった。自分がどんなすごい人に愛されたかを思い知らせるような、財界、政府の人々が顔を連ねている。


 その時、まず一歩足を踏み出したのはそれまで大人しくしていたノイだった。胸を張って先を歩き、イリスを振り返ると歯を見せて笑った。

 そうしてフラムもイリスの腰に手を添えてくれる。

 そのとき胸にあふれたものを、彼女は素直に受け止めた。温かく、豊かで、甘く、溢れすぎて切ないくらいだった。隣に彼らがいる。手を引き、そして共に歩んでくれる。不意に、私は大丈夫、という気持ちが起こり、イリスは自然と胸を張ることができた。


 これから入り込んでいくのはとても困難な世界だろうけれど、私は乗り越えていける。この挨拶は、絶対にうまくいく。確信があった。

 イリスはフラムに笑いかける。彼はその力強さに少し驚いたようだったが、優しく笑うことで受け止めてくれた。少年もまたこちらを見守って笑っていた。

 そして彼女は、誰に強制されるのではなく、自ら心の中に蘇った愛を歌った。


「愛しているわ」

 そして一歩を踏み出した。

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