イカれた世界で冒険始めます!

理系の作家

第1話 冴えない男よ転生だ!

この日は、朝から雨が降り続け止む気配がない。

その雨の中1つの魂が今にもかき消されそうに揺れていた。

「俺は荒…………」

男は、何かポツポツ呟きながらおぼつかない足取りで路地裏を歩いてゆく。

彼は、服はボロボロで汚いがその背中に背負ったギターケースは綺麗なのでギターも綺麗なのだろう。

男はしばらく歩くと路地裏をぬけて商店街に出ていた。

すると男はギターケースからギターを出し弾き語りを始めた。

(♪〜♪♪〜〜)

男が奏でるメロディーに通り過ぎる人は誰1人聞く耳を持たず素通りして行った。

男は今日もほとんど稼ぐことが出来ず自分には音楽の才能がないと思い始めていた。


「きゃーー!!誰かー、娘がー!!」

小さな女の子が水かさがました水路に落下したらしく奇跡的に生えていた木に引っかかり流されずにとどまっていた。

するとなんの躊躇いもなく水路に向かって走る男がいた。

そして男は水路に飛び込む。

男は少女をどうにか上へ押し上げ岸へあげる事に成功した。が男はそこで力つきて流されて行った。

(俺ここで終わるのか…)



目が覚めると俺は目が開けるのが辛い程明るい空間に倒れていた。

「なんだ、ここ。てか俺やっぱり……」

「目が覚めましたか。」

そこにはこの部屋が眩しくてはっきりは見えないが少女が立っていた。

俺はゆっくりと立ち上がり、しばらくすると目が慣れ始め少女の顔がはっきりと見え始めた。

(え、かっわい!やっべ!)

そう、そこに立っていた少女は、人形か!ってゆうレベルで顔のバランスがよくめっちゃ可愛かった。

「可愛いですね!」

「ヒェッ!」

反応も満点だ!と勝手に喜んでいると何か喋りたげにしているがあまり関わりたくないという葛藤と戦っている少女。

「あのー、なんか用ですか?てかここってどこ?」

すると少女が口を開いた。

「私は死者を導く役割を神より頂いた妖精エルフです。あとここは俗に言う下界と天界の狭間に位置する場所になります。」

(エルフってめっちゃ可愛いじゃんやっべー!)

このエルフのゆう通りなら俺はカッコつけて水路に飛び込んで人助けたけど泳げないからポックリ逝ってしまったようだ。

「やっぱ人間死んだ後に後悔するんだよもっと可愛い子と話でもしとけばとか、でもあなた最高ですよ!死後の幸福のひととき最高です!!」

俺は死んだ直後にもかかわらずこんなテンションでベラベラ喋るので美少女も困惑というよりかは引いている。

そして美少女はある提案をしてくるのだった。

「あの、あなた生前、音楽をやっていましたよね?そこであなたにおすすめの世界が……」

(この感じって、子供の頃何度もアニメで見た主人公が騙されるフラグ立った時みたいじゃん、絶対ろくでもねぇ!可愛い顔してとんでもないこと言いやがるな)

「い、いえいえ結構ですよ。それだったら天国に行きたいんですけど……」

多分俺の思っていることは誰しもがこう思うだろう。

「いや、ダメなんです。」

「えッ?」

この子はこんなに可愛いのに実は頭の堅い子だったのか。なんか残念というかあえて可愛いと言うべきなのか。

「実は今、天国は定員が想定よりも増えていてできるだけ今は転生させろと言われておりまして、そのため天国の選択肢は自動的に……」

「ふ・ざ・け・ん・な!俺は天国に行くためだけにどんだけ善意を持ってやってきたと思ってんだよ!てか地球人の9割は俺と一緒だろ。てかまず定員オーバーとか意味わからねーよ………………………………」

この後しばらく俺の天界に対する愚痴は続いた。

ようやく俺は愚痴を言い終えるとエルフの少女はため息をついてこのクレーマーをどうしようか本気で悩んでいるようだった。

「あの、お願いです!なんでも一つ願いをお聞きしますので…」

(あ、キターこれってフラグ立ったんじゃね!)

「あのー、今何でもっておっしゃりましたよね?では遠慮なく僕の願い聞いてもらいます。天国に行きたいです。」

「それは無理です。」

即答だった。

その後、粘ったり駄々をこねたりしたりしたが全然ダメだった。

「もういいです、今の天国がどうなっているかお伝えしましょう。現在天国は入口で信じられないほどの長蛇の列になってまして……」

俺は確信した。

「やっぱ天国はやめときます。」

そう、それはこの世で1番嫌いなことそれは行列に並ぶ事だ。


しばらく俺は願いを考えた末ある考えを思いついた。

「あのー、まだ名前聞いてなかったですよね。ちなみに俺は斉藤 直樹!」

少女はこの男はなぜ急に名前を聞き出すのかと顔をしていたが素直に答えてくれた。

「なるほど、直樹ですね。私はエルミアって言います。でもなぜ名前を?」

「フッ、フハハ」

思わず盛れてしまった笑いにエルミアに聞こえた模様、エルミアは顔を完全に顔を引きつっていた。

「あ、あの質問に答えていただけます?なぜ名前を?………」

「それは簡単だ!エルミア、君は俺と一緒に転生する運命なんだ。だからお互いの名前くらいは……」

(決まったー!!)

俺はエルミアに指を指し完全なドヤ顔でキメていた。

「あの、それはいいんですけど、ここにいる私は魂の一部に過ぎないんです。」

エルミアのよく分からないけどまさかのOKの返事で俺は興奮していた。

「私の本体は、下界に居るんです。なので下界で私を探してみてください。」

彼女は悪戯っぽくそう言ってクスクス笑っていた。

「それでは願いは下界の私を見つけた時に友達になってあげるってゆうのでいいんですね。では転生しますよ!」

「あ、あの貴方のいる所の近くにお願いします。」

「それはランダムなのでわからないです。

では……………」

(いや、それは二度と会えないって意味じゃん!)

俺がそんな事を思っていると俺の身体が眩しく光り始めた。

そして俺の意識は突然なくなってしまった。



あれからどれくらい時間が経ったのかそれとも一瞬だったのかそれは分からないが俺は今まで見た事のないような大きな城壁のような壁の門の前に立っていた。

「す、すげぇー、これが転生か。」

そして俺は門に向かって歩いて行く。

そして門をくぐろうという時突然門の前にたっていた衛兵に止められた。

「旅の者止まられよ!見慣れない服装だな!何処から来られた?」

いきなり大柄で甲冑に身を包んだ衛兵に止められめっちゃビビって動しながら返事を返した。

「お、俺は日本から来たんです!………って言っても分かりませんよね。」

こんな怪しい男を衛兵はほっておく事もなく城壁内への入場を許可されなかった。

「…………………………いや、いいでしょ!俺みたいなへろへろな男なんかしてもあんた1人で十分じゃん!まず何もしねーし!」

俺はひたすら文句を衛兵に言っていたがついに相手にされなくなり追い出されかけていた。そのとき救いの手がさしのべられた。

「ちょっと衛兵さん、その人通してあげて!」

門の中から1人の10代後半くらいの少女が衛兵に声をかけていた。

(なんっか見た事ある顔だな。)

「こいつはあんたの知り合いか?」

「そうそう知り合い!」

「それは足止めをして失礼だった。旅の者よ、失礼したな!」

衛兵は危ないヤツでは無いと判断すると態度を一変させ頭を下げてきた。

「いえいえ、良いんですよ!」

そして俺は彼女に連れられ門をくぐった。















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