喧嘩
[由弦、もう耐えられない。別れて]
香澄に、炎上してから2回目の電話にそう言われた。
「えっ」
僕は、頭が真っ白になった。いや、なんとなく分かっていた。彼女が耐えられなく理由が。
「・・・・・・」
喧嘩をしようと思えばできた。でも、もう反抗する気にはならなかったし、今でも好きな彼女と気まずいまま別れたくなかった。
いや、もはや別れたくなかった。でも、彼女には新しい彼氏がいるから、僕は邪魔者でしかない。炎上している身からいうと、彼女をさらに危険なことに巻き込んでしまうかもしれない。
「・・・・」
はやく何か言わなければいけないのに、強く思うほど声が出ない。
[ごめん]
僕がずっと黙っていると、香澄が小さく小さく言った。
ぷっプープープー
冷酷な電子音と、香澄の最後の言葉が反芻するなか、僕の頰に熱い熱い液体がツゥーと流れた。
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