就活生活

––––数年後。

 なんとか退学は免れ、僕は就活生になった。

 

 あれから、香澄とは連絡をとっていない。

 あの時「いやだ」と言えていたなら、現在は変わっているのだろうか。香澄は今頃、大丈夫だろうか。ご飯をちゃんと食べているだろうか。道に迷っていないだろうか。

 当初は、心配と後悔で心が張り裂けそうだった。ご飯が喉を通らない日も何日も続いた。

 でも、それが区切りにはなったのだと、今は思う。


 今日は、の有名な△○ホールディングスの面接を受けにいく。今まで何社か面接を受けたが、その結果は全て『不合格』だった。理由は記載されていないが、おそらく炎上したからだろう。


***


「では、須藤さん。希望理由を聞いてもいいですか」

 耳を澄ませば、ドクンドクンと心臓の音が聴こえる。と息を吸い、顔をあげ面接官の目を見た。

「はい。御社を希望した理由は、社内の方々とのチームワークを発揮し、個人では残せない大きな成果を上げ、日本に貢献しようと思ったからです」

それを聞いて面接官は、ふ〜んと頷きながら、感心したような顔をした。おっ、今回はいけそう!と思った。


***


数日後

 結果の封筒が届いた。ドクンドクンと脈打つ心臓を抑えながら、震える手で開ける。

  ビリビリビリ

 小さい音のはずなのに、やけに響く。


不合格


 その文字が目の前に立ちはだかる。

 あぁ、やっぱりか。もうダメかもな・・・

 


 現実逃避のために、僕はまだ暖かい布団の中に入った。





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