出逢い

 香澄との出逢いは、インターネットだった。


3年前

 僕は、ボーカロイドが好きだ。作る人によって、機械が歌っているとは思えないような音になる。僕は、機械音も好きだが、人に近い声も好きだ。ボカロについて語ると、いくらでも語れてしまう。僕は所謂、なのだ。

 そんな時に見つけたのは、ツイッターと言うものの存在だ。僕は、『柚』という名前で、ツイッターを始めた。その時は確か、高校1年生だったはずだ。

 僕は、ボカロについて色々ツイートした。そこで、出会ったのが『香織』という名前でツイートしていた、香澄だったのだ。彼女は、僕のツイートに、毎回のようにリプライを送ってくれた。学校では、オタクとして有名で、友達がいなかった僕に、反応してくれるのが嬉しくて、たくさんツイートをした。彼女もボカロオタクで、僕とは馬があった。

 出逢ってから1年くらい経った頃だろうか。オフ会をすることになった。その時のことは鮮明に覚えている。

 12月12日、寒い日だった。待ち合わせ場所で、音楽を聞いていると、

「あの、柚さん・・・ですか」

可愛い声でそう声をかけられた。速まる心臓の音を聴きながら、恐る恐る顔をあげると、予想をはるかに超える可愛い女性がいた。ロングヘアで、制服姿だった。俯いている僕の顔を、覗き込むようにしていた。

「・・・はい」

一目惚れだった。

 家が県内だということが分かり、かなり頻繁に会うようになった。会うたびに、どんどん好きになっていた。電車の中でも、授業中でも、お風呂に入っている時でも、ずっと彼女のことを考えていた。彼女に会った日はなんだか、夢を見ているような感じで、楽しかった。

 インターネットで出逢って、ちょうど2年が経った頃に、僕はというものをした。そのセリフを何週間も考えた。ネットで女性の落とし方を調べたり、大人な服を買いに行ったりした。相手は、薄々僕の気持ちに気づいていたようで、即OKしてくれた。

「好きだよ」

会う度に、彼女はそう言ってくれた。数ヶ月前までは・・・




 


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