第88話 時は流れる。



 3人が幸せであればいいとそれを一番願っているからだろう。俺達3人はもう周りを気にせず過ごしていた。ただ、今まで我慢していた反動かふたりの積極性は話し合った日以降強まっていた。


 そういえば、佐伯先輩は美樹に言われたからと言って一旦は引き下がったけれど諦める様子はないようでちょくちょく俺達3人の前に顔を出しては美樹の苦言を受け少し落ち込みながら去っていくというパターンを繰り返していた。

 そんな佐伯先輩を見て……俺は凄いなと関心してしまうけれど渡すつもりはないわけでいつ諦めてくれるかなあと毎度眺めながら思っていた。


 新見についてだが週一回の昼食参加は続けていた。当初は俺とあまり口を聞くことなく美優とメインに会話することが多かったが時間が経つに連れ少しずつだが俺にも前のように話しかけてくる機会も増えていっていた。

  

 美優は結局こうなったのねと少し諦め加減ではあったが「こうなったら幸せになってね」と俺達3人にそう言葉をくれたのであった。




 そういえば、千穂さんのこともあったなあと俺は思っていたのだが美樹に聞けば千穂さんにはとっくにすべてを話したらしく最初は流石に悩んでいたようだけれど諦めたということだ。ただ「美樹と千夏さんが「あーん」してた時からこうなることもありえるのかなあ? 」と勘付いてはいたらしい。

 ただ問題として冗談なのかどうかはわからないが「ふたりOKなら3人でも良いわよね? 私も入れてもらえるかな? 美樹聞いといてね? 」なんて言っていたらしい。ほんと千穂さん……何言っているんだか。


 また、よくよく考えると千夏のほうは大丈夫かと心配になった。すると千夏は「私は両親がいないんだよ。今は親戚の家で過ごさせてもらってるよ。ああ、親戚の人は良い人だよ。いつも「千夏が思うとおり生きていいからな」と言ってくれる人だから。今回の話もしておいたけど「千夏がそれでいいなら何も言わないよ」って言ってくれたから」という話だ。それでも親戚の方はいろいろと困惑はしただろう。俺のせいでだからなあ……


 ふたりの話を聞いた俺はどちらの家にもきちんと顔を出しにいかないといけないなと思うのであった。




 時は過ぎテストも終わり冬休みも近くなった頃、放課後の帰り道にふたりから以前約束した「勉強会のお礼」について希望を言われた。それはクリスマスに3人で過ごすこと。俺にとってはそんな事はお願いがなくてもするって伝えてもそれで良いと言って聞かなかったので諦めて受け入れることにした。




 そして考える。さて……プレゼントは何が良いだろうかと。

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