第89話 クリスマス。【本編完結】



 冬休みに入り、今日はクリスマス。俺達はショッピングモールで時を過ごした。今日は遅くなるつもりはない。やっぱり家族との時間も必要なわけで、昼だけ3人で集まり夜はそれぞれの家族と過ごすことにしている。




 ウインドウショッピングで騒ぐふたり。俺には女性の服はさっぱりわからずただついていくだけなのだが「これはどうですか? 」「私に似合いますか? 」なんて聞かれる俺は少々くたびれてしまう。

 けれど、ふたりが試着した姿だけはとても似合っていてそれを見せてもらう俺が見惚れてしまうのは仕方がないことだろう。


 ウインドウショッピングが終わった後、ショッピングモール内のお店で昼食を取り俺達はショッピングモールを離れなぜか学校へと来ていた。


「俺達はここで出会ったんだよなあ」


 思わず俺はそう呟いた。


「私から蒼汰さんに告白したのが始まりですね」


 美樹はそう答えた。


「あの時から考えると俺は変わってしまったよなあってほんと思うよ」


 俺がそう言うと、千夏が


「最初、本当に誠実で良い人だと思ったよ」


 と笑いながら答えてきた。


「今じゃ二股だのいろいろ言われる人になっちゃったからなあ」


 さすがに俺もそう言って苦笑いをする。そんな俺に美樹は


「でもですね。たとえ世間が認めないことであっても蒼汰さんが変わってくれたから今があるんですよ。3人幸せにこうやって過ごせているんですよ? 」


 と言ってくれた。そして千夏も続けて


「本来なら後から入ってきた私を切り捨てればいいだけのことだったんだから。それでもそれをせず私のことまで考えてくれていたのは蒼汰くん、君だよ」


 と言ってくれる。


「はははっでもそれって俺の我儘ばかりだよ、きっと。ふたりを巻き込んでるしなあ」


 と俺は呟いてしまうが


「蒼汰さんは後悔していますか? 」


 と美樹が聞いてきた。その横で千夏も不安そうに俺を見ていた。


「後悔なんてまったくないさ。ふたりと一緒にいることが俺の一番の望みなんだから」




 俺はそういった後、ポケットからあるものを取り出す。


「ふたりともこれをもらってくれるかな? 」


 小さな箱。ふたりとも同じものだ。ふたりはそれを俺から受け取り「開けても良い? 」と聞いてくる。俺は「いいよ」とふたりに告げる。


 中から出てきたのはネックレス。星が半分に割れた形でネックレスの星部分をくっつけると一つの星になる。


「流石に指輪はどうかと思ってネックレスにしたんだけどね。俺にとってはさ。ふたりがふたりともが俺を導いてくれる大切な星なんだよ。だからそれを選んだんだ」


 ふたりは俺の話を聞いてネックレスの星部分をくっつけてはニコニコして笑い合っていた。




「さて、帰ろうか。俺だけじゃなく家族とも過ごしてほしいから」


 俺がそう言うといつものように右に美樹、左に千夏と腕を組んできた。


「蒼汰さん、大好きです」


「蒼汰くん、大好きだよ」


 ふたりからそう言葉をもらい俺は少し照れてしまう。それでももう周りを気にしたりすることなく


「俺もふたりが大好きだよ」


 そう2人に伝えた後、3人でくっついたまま帰路へと着くのだった。



FIN

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