第76話 千夏とのデート。



 俺は今隣町の公園に来ている。ここは結構大きな公園で紅葉を見るにはおすすめの場所だ。ただ、今年は天候のせいか紅葉の時期が遅く赤や黄色にかわる植物が少なくまだ夏の名残が残っているそんな感じだ。


 さて、なぜこんなところにいるかというと今日は千夏とのデートだから。

 同じ学校の人に見られて噂になることを心配したのだろう、俺と千夏との待ち合わせ自体もここ公園で行うことにしていた。

 待ち合わせは11時。俺は10分前くらいに公園東口に着いたんだけれど、千夏がどこに居るかまだ見つけられていない。

 スマートフォンで千夏に連絡を入れてみると、千夏はもう着いているようで俺の所まで来てくれるということになった。


 ぼーっと待っていると千夏が現れた。格好はシャツにジャケットを羽織り下はジーパンそしてなにか少し大きいバックを持った格好だった。なんというかスポーティと言うかこういう格好は特に千夏に似合うと思う。


「蒼汰くんおはよう」

 

「千夏おはよう。千夏ってすらっとしてるからほんとジーパンが似合うなあ。女性にこういう褒め方が良いのかわからないけどかっこいいや」


 俺がそう言うと


「動きやすい格好がいいかなと思ってね。格好いいって言われるのはなんだけど似合ってるならおっけーかな? 」


 そう言って笑う千夏。


「それで今日はどうする? 」


 おれが聞いてみると


「別に何をするって言うことはないよ。私としてはのんびり公園で一緒に居られればいいかなって。それにあちこち行ってると学校の人に見つかったりするのも困るしね」


 やはり俺が美樹と付き合っているということになっているから、同じ学校の人に見つかないよう気にしていたようだ。


「なんかごめんな。ちょっと堅苦しい感じになっちゃって」


「いや……こればっかりは仕方ないよ。それに困りものは佐伯くんなわけだしね」


「うーん。そっちもどうにかしないといけないな」


「うん……まあ今日はそのへんは忘れよう。せっかく私とデートなんだから。美樹から色々と聞いてるからのんびりと言っても私もしたいことあるんだからさ」


 そう言って千夏は俺の手を繋いできた。


「私も蒼汰くんと腕を組んだりしたけれど手を繋ぐのは初めてだね」


 そう言ってにっこり微笑む千夏。美樹のデートで最初手を繋いだなと思いかえし千夏もここで手を繋いできたということは? と


「もしかして美樹からデートでしたこととか聞いてきたってことかな? 」


 と俺が聞くと


「そりゃそうさ。私も同じことしてもらうんだからさ」


 と少し照れながらも


「さっ行くよ、気持ちの良い場所があるからさ。そこでまずは食事をしよう。お弁当作ってきたからさ」


 そう言って俺の手を引っ張って目的地に連れて行こうとするのだった。

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