番外編-07 忘れることが出来るまで。



 しばらくして姉さんから亜美さんについての話がありました。なぜ亜美さんを知っているのか不思議でしたので姉さんに聞いてみると今日の蒼汰くんとのデートで会ったそうです。

 そこで亜美さんから私、美優のことで話があったそうです。


 私に伝えたいことがあったということ

 会って話したかったけど怖かったということ

 だから姉さんから伝えてもらおうとしたこと

 でも姉さんが会って話すように説得したこと

 会わなければ気持ちは伝わらないって伝えたということ

 説得が成功し亜美さんが会いたいと言っていること


 その話を聞いて私は亜美さんも人がいいなあと思ってしまいました。私は緊張して上手く会話もできず告白もできずただ圭佑くんを見ていただけです。そんな私が伝えたことをそこまで気にしなくてもと思ってしまいました。ですが、会って話すにはもう少し時間が……と思い姉さんに「会うけれどもう少し時間が欲しい」と伝えてもらうことにしました。

 もう少し心が落ち着くまで……




 新見くんとはちょくちょく会って相談という形でしたが話をすることが多くなりました。内容的には世間話が多い気もしましたが……だって言えることがあまりないものですから。

 そんな中私は新見くんに聞いてみました。私が気になっていることを。


「新見くんはもし千夏先輩に振られたとしたらどうします? 」


 ちょっと聞くにはひどい内容だったかもしれません。ですが聞いてみたかったのです。他の人が私と同じ状態になったらどう考えるかを。


「1つ言っとくけどもう一度告白して振られてるからな」


 苦笑しながらそう告げる新見くん。知らなかった私は驚いてしまいました。


「でもさ。振られても好きなんだから仕方ないじゃないか。彼氏ができたら諦めないといけないかもしれないけれど、そうなったとしても好きな気持ちは多分なくならないから。とりあえず忘れることが出来るまでは思い続けるかな? 迷惑をかけないようにはするけどね」


 思い続けるですか……確かに諦めることなんて簡単ではないことだと私もわかってます。今忘れよう忘れようと頑張っているところですから。

 でも、新見くんが言うように忘れることが出来るまで思ってても良い? 圭佑くんのことを好きでも良い? 無理に忘れなくても良い? そう考えるとなぜか心が軽くなっていくような感じがしました。


 新見くんを見て……私も無理することはないんじゃないかとそう思えたのでした。



 それから私は気持ちを押さえつけようとすることはなくなりました。確かに一緒になれないということは辛いのですが、それよりも気持ちを押さえつけることのほうが辛かったことに気付いたからです。


 そうするうちにいつの間にか圭佑くんに会うことが怖かった私は居なくなってしまいました。




 後日、テストが終了後の順位が張り出されたので私はその確認に廊下へと赴きました。赴いた先には蒼汰くんと新見くん、そして圭佑くんが先に来ていました。

 

 今までだと忘れようと考えて避けてしまっていましたが今日の私は違います。気持ちがなくなるまでは圭佑くんのことを思っていることにしましたから。怖がる私は居なくなりましたから。


 だから私は声をかけました。


 圭佑くんが居る輪の中へと。

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