番外編-06 美優と新見くん



 亜美さんと圭佑くんが付き合うと知って泣きじゃくった日。温かく包んでくれたのは私、美優の家族でした。何も聞かずただ抱きしめてくれたお母様と姉さん。その日は1日そのぬくもりを忘れることが出来ませんでした。

 そしてその機会を作ってくれた蒼汰くんには感謝の言葉もありません。でも、素直ではない私は翌日に蒼汰くんを名前呼びをしたくて会いに行った時に別れ際軽くありがとうとしか言えませんでした。情けないことです。




 その日以降、私は蒼汰くんと姉さんそして千夏先輩の3人で昼食を取っているところにちょくちょくお邪魔するようになりました。

 最初は皆さんが心配してだと思いますが誘って頂いて伺ったのですが、私としても姉さんが居て気楽に過ごせる時間でもありそんな場所にお邪魔する回数が日が経つにつれ増えていったのも仕方ないことですよね? 

 ですが圭佑くんがたまに来るときがありますので、そのときは蒼汰くんが気を使って連絡をしてくれます。確かに会うくらいならまだしも昼の休憩時間にずっといるのはまだ耐えられるかわかりませんので……


 私が参加してしばらく経つと今度は蒼汰くんの同じクラスの新見くんが昼食に参加したいとやって来ました。千夏先輩が関わっており私としてはなんとも言えない状況でした。そう、千夏先輩次第ということ。

 ですが蒼汰くんが認めたせいかすんなりと参加ということになりました。


 ただ、気になったのが新見くんのこと。千夏先輩は蒼汰くんに思いを寄せているわけで……


 気付いた時どう思うのだろうか

 私のようにならないのか


 と心配になってしまいました。




 ですので新見くんを一度呼び出して話をしたことがあります。


「昼食に参加したのは良いけれどもしかすると知ったら辛いことがあるかもしれませんよ」


 なにか意地の悪い言い方になってしまいましたが、私がそう伝えると


「相楽が何を知っているかわからないけど、遠藤先輩から言われたんだ。外見だけで惚れられても付き合えないって。だからどうしても知る必要があるんだ。山口を頼って失敗しちゃったけど。そうして考えたんだけどこんな手しか思いつかなかったんだよね。まあ知って辛い目に合うのなら仕方ないよ。知らないで終わるほうが嫌だから」


 そう言う新見くんはなぜか輝いているように見えました。本当に千夏先輩のことが好きなんだなあとそう感じられたのでした。そんな新見くんから


「なあ、もしよかったらさ。時々相談に乗ってくれないかな? 俺って女性の心ってよくわかんなくて。俺の好きな人を知ってる相楽なら話しても問題ないしおまけに遠藤先輩のことをよく知ってるだろうしね」


 と新見くんは私に頼んできました。はっきり言えば千夏先輩の気持ちを知ってる私ではろくに相談に乗れないのではと思いましたが、そんな輝く新見くんを見ていたせいか思わず


「いいですよ」


 と言ってしまいました。そんな私に新見くんは


「ありがとう。ひとりだとやっぱりしんどくてね。話を聞いてくれる人がいるってやっぱ良いよな」


 そう言ってくれたのでした。

 

 

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