第74話 そわそわ千夏。



 お昼時いつものように中庭での食事だけれど千夏の様子がちょっとおかしい。なにか話したくてうずうずしている? そんな感じで。


「千夏どうしたの?」


 気になったので俺は聞いてみたわけだが


「ああ、えーと。私とのででで、デートはいつにするか話していなかったなあと思ってね」


 ああ……それを気にしていたわけか。


「千夏ちゃん……今日落ち着き無かったのはそのせいだったんですね。今日はずっとそわそわしてて珍しいなって思っていました」


 美樹も千夏の状態をわかっていたけれど理由については聞いてなかったのか。


「俺は千夏の都合の良い日でいいよ。希望はある? 」


 俺がそう言うと


「だったら今週末の日曜日でいいかな? 私もはやく……したいから」


 最後は声が小さくなりながらも千夏は俺にそう告げた。


「了解。なら日曜日ね。時間とかは後で話して決めようか」


「ああ……宜しくおねがいします」


 千夏の話し方がなぜか丁寧になっている。ちょっと可笑しくなったけれど照れるだろうからスルーしておこうと思ったけれど


「千夏ちゃんが珍しく口調が違ってて面白いですね」


 と美樹が突っ込んでくれた。おかげで千夏が真っ赤になってしまったじゃないか。とりあえず話をそらそうと


「テストも終わって……あっみんなは順位どうだった? 美優は言わなくて良いよ。順位見たし。」


 そう言うと


「なんかすごく冷たくない? まあ姉さんは知ってるし良いんだけどさ」


 とちょっと膨れ面でそう言い返してきた。


「えーと千夏ちゃんが1位で私が2位でした。いつもどおりって感じですね」


 いつもどおりと言えるところが凄いと思うし普通なら嫌味にも聞こえてしまいそうな発言だけど美樹が言うとそれを全く感じないんだよなあ。ほんとに不思議。


「頭がいいって褒めるのはやっぱり違うんだろうなあ。ほんとふたりとも頑張っているんだろうね」


 俺がそう言うと美樹が


「蒼汰さん、よかったらご褒美もらえますか? 」


 そう言ってきた。さて何が望みだろうと


「ん? 俺に出来ることかな? 」


 と俺が尋ねてみると


「はい! 頭を撫でて下さい! 」


 美樹は撫で撫でをねだってきた。まあそれくらいは問題ないので俺は何も言わず美樹の頭を撫でてあげる。そして反対の手で千夏も撫でてあげた。だって千夏が一番だったわけだしね。

 おねだりした美樹は目を細めて幸せそうに撫でられていた。だけど千夏はまさか自分もと思っていなかったからか急に頭を撫でられてびっくりしたのだろう。「ビクッ」となってしまったけれど拒否することもなく素直に撫でられ始めた。頬を染めて。


 それを見ていた美優は


「蒼汰くん……あなたほんとたらしになってきてるよね」


 ととんでもないことを言ってくれる。


「ちょっと待て。俺はこのふたりしか……いや美優にもしたことあったな。3人しかしないぞ」


「ちょっと待ってよ。私も入ってるの? 止めてよ……近寄れなくなるじゃない」


 そう言って体を竦める美優。なんだか美優にとって俺はとんでもない男として扱われているようだ……

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