第73話 テストの順位表。



 テストが終わって一週間経ち、学年ごとに順位表が張り出された。うちの学校はすべての順位が張り出されるわけではなく上位50位までが対象となっている。

 まあ、俺は美樹たちと勉強会を1日したくらいでそうかわるわけもないわけで。今回も俺は真ん中辺りかなあとそう考えていた。


 そのため、俺にはまったく関係のないものと気にもしていなかった。




 けれど知り合いがいればその話題もでるわけで。まあ知り合いと言っても圭佑しかいないわけだが、その圭佑が休み時間に俺に声をかけてきた。


「順位表張り出されているけど見に行くか? 」


 一応順位表が気になっているのだろうか? でもさ…


「うーん。俺には全く関係がないからなあ。知り合いがいるならまだしもそれさえないし。圭佑が載ってるわけないだろ? それで見に行く価値あると思う? 」


 俺は圭佑に逆に尋ねた。


「そう言われると困るな。たしかに俺も載っているわけじゃないし……2年生の順位なら相楽先輩と遠藤先輩はまず載っているだろうけど……」


 圭佑も言われて困ったのかそんなことをぼやいてしまう。そんな俺達のところに珍しく新見がやって来た。


「ん? ふたり揃ってどこかに行くのか? 」


「圭佑がテストの順位張り出されてるから見に行かないかって誘われたんだけどね。意味がないって話してたところ」


 俺は新見にそう答えた。


「全員載ってるわけじゃないからなあ。大体常連しか載ってないからね。まあ俺もその常連のひとりだがな」


 ちょっと偉そうに言う新見。


「そういやなぜか新見は頭が良かったんだっけ」


「ああ、なぜか50位以内にいつも入ってるな」


「なんでふたりともなぜかなぜか言ってるの? これも実力だからな」


 新見は俺達ふたりの言葉に心外だというように言い返してきた。


「で、今回の順位は見たわけ? 」


「いやまだ見に行ってないよ。一緒に行くかい? 」


 新見もまだ見に行ってはないらしい。


「んー。新見の順位の確認だけで行くのもなあ」


「それに俺も同意だね」


「ふたり揃って冷たいなあ」


 新見は俺達の言葉にちょっといじけ気味。まあ、珍しく誘ってくれたわけだしついて行ってもいいかと3人で順位表を見に行くことになった。




「うん、安定の俺。載ってないね」


「ああ、俺もだ」


 俺と圭佑はそう言うしか出来なかった。


「俺は32位だったぞ」


 新見だけはやはり載っていたようでそう俺達に告げてきた。


「はい、よかったよかった」


「なんかおごってくれるよな? 」


「えっそれ逆じゃね? 俺がおごってもらうのが普通だろ? 」


 そんな事を3人で話していると


「あなた達何バカなこと言ってるの? 」


 そう美優が声をかけてきた。美優も順位表の常連というかいつも1位2位の争いをしていたっけか。


「いや、新見が載ってるからって俺達をいじめてくるからやり返してるだけ」


「そうだな」


「いや……俺はそんな事してないよな? なんかおかしくないか? 」


 俺達がそんな事を言い合っていると


「でも不思議な気分ね。蒼汰くんと新見くんがこうやって一緒にいるのって」


 美優がそんな事を言う。確かにいつもなら一緒に居ないからな。オレ一人で居ること多いし、他に居ても圭佑だけだからなあ。


「なんでだろね? 」


「新見も蒼汰の良さがわかったからかもね」


 俺は疑問で返したが、圭佑はそんな事を言ってくれた。


「んー。今日は圭佑とも一緒にいたんでなんとなく声をかけたんだけど。まあ、山口が良い人ってのは認めるかな? というかなんでいつもひとりでいるのか不思議な気がするよ。圭佑とはこんなに仲良いし無口なわけでもないからなあ」


 新見もそんな事を言ってくれた。


「俺からすり寄っていかないからじゃないか? まっいろいろとあるんだよ、俺も」


 俺は苦笑しながら新見にそう返すのだった。




 ちなみに美優は今回のテスト順位も1位だったそうな。

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