第71話 ひさしぶりの飴ちゃん。



 圭佑と亜美姉ちゃんとは駅に着いた後すぐに別れた。亜美姉さんは眠いのか疲れているのか最初の元気はなく大人しかったため、すんなりと別れることが出来た。

 そして俺は、美樹は家まで送らなくても大丈夫ですよと言うけれどやっぱり女性の独り歩きはさせたくないと家へと送るために一緒に帰ることにした。


「今日は本当に有難うございます。とてもとても楽しかったですし嬉しかったです。たくさんキスもさせていただきましたし……」


 照れながらそういう美樹。そういうことを簡単に伝えてくる美樹に俺は照れてながらも


「俺も楽しかったよ。でもごめんな。最後に変なことを言って」


 変なこととは電車の中で言ったこと。さすがに美樹の前では言うことではなかったかなと少し反省していた俺だった。


「いえいえ、あれは蒼汰さんが私と千夏ちゃんのことを本当に考えてくれている証拠です。それに素直に伝えてくれることって嬉しいんですよ。ああ、蒼汰さんに信頼されてるんですねって嬉しい気持ちになりますから」


 そう言ってフォローしてくれる美樹。本当に優しい子だなって再度実感してしまう。


「でも今度は千夏ちゃんとデートですね。少し羨ましいです。千夏ちゃんは本当のふたりきりでのデートですからね」


 美樹はそう言うけれど別に怒った様子もなく冗談のように話していた。それに対して俺は


「今回千夏とふたりきりのデートにはなるけれど、美樹とも今回だけしかデートができないわけじゃないだろ。次はふたりきりですれば良いんだから」


 そう言いながら俺はポケットに手を突っ込む。そして久しぶりな気がする飴ちゃんを取り出した。


「美樹もいる? 飴ちゃん」


「はい、いただきます。蒼汰さんからもらう飴ちゃんは特別ですから」


 そう答える美樹に飴玉を渡した。

 



「ここのところ俺自身に飴ちゃんあんまり必要なかったなあって思うと幸せな日々を送ってたんだなって……そう思えるよ」


 そう言って飴玉を口に放り込む。


「そうですね。困ったことと言えば佐伯さんくらいでしょうか? 」


 そう言って苦笑する美樹。


「そういえば美優にはあげたな」


「あの日ですか? 私のうちに来た……」


「そそっ少しは元気になるかなって」


 そんな会話をしながら美樹の家へと向かっていった。




 美樹の家に着き俺達は別れた。さて…俺はとスマートフォンを取り出し電話をかけた。


「あっ親父? 俺今から帰るところ。夕飯どうする? 家で食べるなら作っとくけど」


「蒼汰か。今日は楽しんだか? そうだな……まだかかりそうだし作ってもらうかな。でも疲れてないか? 」


 親父が心配をしてくれるが


「どうせ自分の分作るわけだから気にしなくていいよ。簡単なものにはなると思うけどね」


 親父に気にしないようそう伝えた。


「わかった。ならお願いするよ。ただ、遅くなると思うから先に寝てていいぞ」


「了解。親父も無理しないようにな」


 そう言って通話を終えた。




 さてと帰って飯作って…食べて寝るかと俺は駆け足で走り出す。不思議とさっさと帰ってすること済ませたいそんな気分だったから。




 ベッドでぐっすりと眠りたいそんな気分だったから。


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