第55話 黙々と勉強会。
美樹と千穂さんとのやり取りが終わった後、俺と美樹は美樹の部屋へと移動する。部屋には千夏と美優がすでにやって来ていて
「「蒼汰くんおはよう」」
「千夏に美優、おはよう」
部屋に入るとすぐふたりと挨拶を交わした。
「さて、テストに向けて勉強しようか。私達と蒼汰くん、なにかわからないことがあれば聞いてくれ」
「はい、蒼汰さん手取り足取り教えさせていただきます」
ふたりがそう言ってくれる。
「姉さん、私には教えてくれないんですか? 」
美優は少し頬を膨らませて文句を言った。確かに美樹の言葉に美優ははいってなかったな。それよりも手取り足取りってなに? 普通に教えてくれるだけでいいから。
「美優ちゃんにもちゃんと教えますよ、いつも通りに。でも、蒼汰くんに教えるのは初めてですから。なので懇切丁寧にさせていただきます」
なぜかすごく張り切っているように見える美樹だった。とりあえず俺は
「何かわからないことがあれば聞くよ。ふたりともありがとう」
そうふたりにお礼を言った。
俺も含めてだけれど不真面目な人はいないようでみんな黙々と勉強をしている。まあ、この面子では当たり前か。
途中わからないことがあれば美樹と千夏に尋ねた。ただし交互に。だって片方に続けて尋ねると睨むんだもん。尋ねてないほうが。だから仕方がないわけで。
そんなやりとりを見た美優は隠れて笑っていたな。でも、笑うんじゃなく助けてくれると嬉しかったんだけどな、ほんとに。
途中お手伝いさんが紅茶を持ってきてくれた。前回飲んだ紅茶と同じようで上品な甘さと香りが良いことからか気持ちを落ち着かせてくれる。
昼食は、お手伝いさんから運ばれてきたサンドイッチ。短時間で食べられるもので勉強に配慮してくれたのかなと俺は思った。とりあえずみんなでしばらく休憩のようにのんびりと会話をしながら食事をした。
昼食後、勉強を再開したわけだけど流石に途中で集中力が切れてきた。俺は勉強はもう無理かなと時計を見てみる。時間は15時。それでも食事をしてから結構たっており我ながらここまで続けて勉強したのは初めてかもしれないなんて思ってしまった。
周りを見回してみると、3人はまだ黙々と勉強を行っている。3人とも凄いなと俺はぼーっと眺めていた。
「そろそろ集中力がなくなってきたかしら? 蒼汰くん」
美優がそう話しかけてきた。
「ああ、あまり長時間続けて勉強しないからね。流石に疲れてきたよ」
俺は素直にそう返す。
「蒼汰さんお疲れのようですね。そろそろ終わります? 明日もありますし」
「それがいいかもな。集中力が無く勉強しても頭に入らないだろうしね」
美樹、千夏は俺を見て終了してくれるようだ。確かに勉強を続けても俺の頭にはもう入らないだろうと思えるし。けれど、俺に付き合う必要もないわけで
「俺はいいけど3人は続けられるんじゃない? 」
そう聞いてみるものの
「蒼汰さんがお疲れなら私は止めます。一緒がいいです。そしてお話します」
「ぷっ美樹は……でもそろそろ止めていいと思うよ。休憩も必要と思うしね。それに足りないようだったら残りは家ですれば良いからね」
「私もできることはほとんど終わったと思うから。もしわからないことが後から出てきても姉さんが側にいるし問題ないわ」
3人ともそう言ってくれた。
さてと、当初の予定には無かった俺の母親についてふたりに話さないといけないな。美優には別に話を聞かれても問題ないから聞くかどうかは美優に任せるとして……
そう考えて俺はみんなに声をかけるのだった。
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