第47話 ごめん、思い出せないや。



 今日は何事もなく1日が終了。現在は1日の最後のホームルーム。先生の話を聞きながら俺はふと思う。


 目立たずひとりでのんびりしていた学校生活。それが今では嘘みたいにいろんな事象が起こってしまってほんと俺の生活が変わってしまったなあと感じる日々。そういえば最近は圭佑のことを聞きに来る人も減ったなあと思う。あれかな? 美樹、千夏と一緒にいることが多くなったから近づきにくくなったとか? 影響があるかもしれないかなとちょっと苦笑する。


 先生の長い話はまだ続く。


 そんな中、俺は美樹、千夏のことをどう思っているのだろうなんて事を考える。ふたりのことは好きに決まってる。でもそれは恋愛感情ではなく友好的な好きであって。それでも、ふたりを女性として魅力的に感じないかと言われればそんなことはないと言い切れる。だったら、どちらかひとり選べと言われるとそれは無理だなあと思ってしまう。これが優柔不断というやつか? 


 いつかどちらかを選ばないといけないんだろうなあと思うと苦しくなる。しんどくなる。


 選べば今の関係が壊れる? そんなことはしたくない。そう思うのは美樹と千夏の仲の良い関係を見ることが俺はきっと好きだからなんだと思う。

 そしてそんなふたりの側で過ごすことが今の俺にとって幸せと感じることができる重要なものだと思っている。


まだ先生の話はまだ続く。 

 

 ぼーっと窓の外を見てみると校門には先輩ふたりが待っている様子が見える。早いなと思う俺。いや、うちのクラスが遅いだけかもしれないな……


 まだまだ先生の話はまだ続く。


 俺って好意に弱いのかもしれないな。理由があれば、美樹の告白のときのように断れるわけだけどそんなものがない純粋な好意にはとても弱いんだなあと。多分あの母親のせいなんだろうな。それに今まで俺に近寄ってくる人は大体圭佑目当てが多くてまったく俺を見ない相手にどちらかと言うと嫌悪感ばかり抱いていた。それが、美樹と千夏だけは純粋に俺のことを見てくれる。思ってくれる。きっと俺は嬉しくてたまらないのだろうね。だから失うことが怖いと思っているところもあるのかもしれないなぁ。

 

 考えても俺の頭の中は堂々巡り。結局どうすれば良いのだろうというのが結論となる。だけどこういうことをよく頭で考えるのはそれだけ美樹と千夏が大切だってことなんだろうと俺は思っている。考えない日はない。


 そろそろ先生の話は終わりそうか? 


 再び、窓の外を覗いて美樹と千夏の様子を伺ってしまう。すると、ふたりにひとりの男性生徒が近寄っていく様子が見える。あれはふたりと同じクラスの……名前なんだっけ? 校門で一度会ったことあるはずなんだけど思い出せない。ごめんな、男子生徒さん。

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