第25話 圭佑の想い人。



  今日は珍しく圭佑から話があると言われて一緒に昼食を取ることになった。きちんと美樹先輩たちには断り入れておいたよ。残念そうだけど「仕方ないですね」と了解してくれた。




 昼休み、教室ではなく中庭に行ってふたりで昼食を取ることにする。


「蒼汰、あのさ。相楽先輩のことどう思ってる? 」


 いきなりそんなことを聞いてきた。


「どう? って? 好きかどうかってこと? 」


「うん、そうだね」


「好きかどうかと言われれば好きだよ。ただ、恋愛としてと言われるとまだわからない……かな? 」


 俺は素直な気持ちを伝えた。


「そっか」


 圭佑は溜息をつくように言った。


「ん? もしかして圭佑、美樹先輩のこと好きなの? 」


「いやいや、そうじゃないよ。蒼汰が相楽先輩と付き合うのかなあと気になってね」


 圭佑はなにかはっきりしない感じでそんな事を言った。


「なんかはっきりしないなあ、なにかあるならはっきり言えよ」


 俺はすこし困ったように圭佑に言う。


「んー。蒼汰のこと気になってる人がいるわけよね。俺伝手で蒼汰のことよく聞かれたりして。」


 というか圭佑がこういうこという人って、あの人しか居ない気が……

 

「もしかして、亜美姉ちゃん? 」


 亜美お姉ちゃんとは4つ年上の圭佑の幼馴染で、なぜか俺にすぐ抱きついてくる抱きつき魔なんだけど。


 圭佑は少し無言の後


「ああ、そうだよ」


「いつも聞かれるんだよ。蒼汰がどうしてたかとか相楽先輩とどうなのかとか。相楽先輩と付き合うんだったら逃れられると思ったんだけど……はぁ駄目か」


 諦めた感じでそう言った。


「んーなんで俺あんなに好かれてるんだろな。大して会ったこと無いのに不思議すぎる」


「亜美姉ちゃんもなんでかよくわかんないとか言ってたな」


 圭佑は「はぁ」とため息をつきながらそんな事を言う。


「というかさ。圭佑ってさ、モテる割に亜美姉さん以外とそれほど付き合いないよな。話したりはしてるみたいだけどさ。ぶっちゃけどうなん? 亜美姉ちゃんと? 」


 俺は前から気になってたことを聞いてみた。俺も美樹先輩とのこと聞かれたし良いだろ。


「ずばっと聞いてきたな。まあ蒼汰だしいいか。そうだな、亜美姉ちゃんは俺の初恋の人だな」


 圭佑が珍しく真面目な顔で言った。


「そっか、なんか悪い。俺が邪魔しているような感じになってるわ」


「いや、こればかりは亜美姉ちゃんの気持ちだからなぁ。それにいまいち本気かどうかわからんし。ただ結構辛いんだよな、好きな人に別の男のこと聞かれるの」


 そう言われて俺は言葉が出なくなってしまう。


「いや、蒼汰のこと責めたりなんてしてないからな。話戻るけど、亜美姉ちゃんのこととは別にして気になってたからな。相楽先輩と上手く行ってほしいなって。蒼汰のことわかっている人が現れてほんと嬉しかったんだよ。そんな人と一緒になれればって。亜美姉ちゃんがいたにはいたけど、蒼汰が苦手にしてたから悪いけど除外してたし」


 圭佑はすこし苦笑いをしながらそんな事を言う。


「相楽先輩、あれだけ蒼汰に気持ち伝えてきてるんだからちゃんと考えてやれば? 」


「そうなんだよなあ。圭佑には言ってなかったけれど美樹先輩は許嫁がいるんだよね。でも、俺に告白するために解消しようとしてくれてるんだ」


「はっそうなのか? そこまでか……」


圭佑はびっくりして奇声を上げそうになる。


「だからちゃんと考えたいとは思ってるよ。まあ、今週末に美樹先輩のことでちょっとあるからその後にしっかりと考えないとかなと思ってる」


「そっか。俺の知らないところでもいろいろ有ってるんだな、まっがんばれ。亜美姉ちゃんのほうは俺が上手く言っとくし」


「俺、亜美姉ちゃんになんか言われたわけじゃないからなあ。何もできなくてごめんな」


「気にすんな。友達……いや親友だろ」




 圭佑は顔を少し赤くしてそっぽを向きそう言った。

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