第08話 圭佑のおっかけ現る。
昨夜、遠藤先輩とSNSでやり取りして大体の事情はわかった。そういえば、なぜ相楽先輩本人からではなかったんだと思って聞いたところ、相楽先輩はスマホ自体を持っていないんだって。まあ必要に駆られたことがない。確かにスマホで暇つぶしをしないのなら、無くてもやっていけるっちゃいけるもんなあと確かに思う。俺も連絡では月2、3回使えば良いほうだし。それも親父か圭佑だし。あっ圭佑ネタ情報欲しさに連絡してくるやつもいるが、あれは俺に用事ではないから除外。ふむ、友達少ないとか言わなくてもいい。俺自身わかってるから。
さて、問題は昼食の誘いがあったときだ。とりあえず相楽先輩と直接もう少し話をしないとかなあとは思うけれど、あれだけ人気のある人と一緒にいるとなると嫉妬や罵声で被害甚大だろうと悩んでしまう。人だかりできたもんな。さすがに怖いと思ってしまう。まあ、こそっと連絡してほしいことは伝えてるし……
何事も起こらないように祈るしか無いか。
という感じで学校へ登校し、教室の席でそんなことを悩んでいた俺。そこにいつものように圭佑から
「おはよう蒼汰」
と、声がかかる。
「おはよう圭佑。今日は早いな」
「朝練が少し早く終わったもんでね。ほんと朝練で遅刻しそうになるのうちの部活くらいだよな」
いつもより部活の朝練が早く終わった様子だ。いつもぎりぎりだからなあ。愚痴も言いたくなるだろうに。
「そういや部活でさ、昨日の昼休みになんで相楽先輩がうちの教室の廊下前で覗いてたかって話題ばかりされてたわ。確かに何がしたいかよくわかんなかったもんな。誰を呼ぶでもなく周りに聞くでもなく、不思議だったな」
どうもいろんなところで昨日の話題が話されてるようで……いるだけでこんなんだと、もし一緒に居るところを見られたら大変なことになりそうだよ。
「気にしてもしょうがないだろって思うのは俺だけか? 本人に聞かないとわからないだろ。流石にあの不可思議行動は」
と、俺はちょっとごまかすように言ってみる。
「まあそうだなぁ。おし、そろそろ先生来るだろうし、またな」
ということで、とりあえず話は逸れて終了してくれた。ふぅ。
さて昼休み、俺はやっぱり気にしてしまっていた。また相楽先輩来るのかなあと。一応遠藤先輩には気をつけてと言ったわけだけど、相楽先輩がちゃんと聞いてくれるのかよくわからないからなあ。とりあえず飯食うかと弁当を広げ、昼食を取ろうとする。そんなとき、
「あら、ひとりで昼食なんて寂しいですね」
と、声がかけられる。顔を上げて声がかかったほうを見てみると、そこには隣のクラスの
「悪いな、友達いないもんでな」
淡々と言葉を返し、口に飯を運んでいく。
「にしても珍しいな、俺に公で声かけてくるなんて。圭佑に用事じゃないのか? 」
俺は思っていることを聞いてみる。こいつにはもう面倒なんでSNSを教えている。なので圭佑のことを聞きたい時はSNSで聞いてくることが多い。そのため、わざわざこうやって声を掛けられることに違和感が半端ない。
「ええ、今日は圭佑くんには用事はないですよ。ちょっとあなたがどんな人かきちんと話してみたいと思っただけです」
そう言って、少し笑ったような表情をしてみせた。
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