第04話 前向きな美樹さん。



 涙を溜めていつ大泣きしてもおかしくないようにみえる美樹。美樹ならもしかするとと思っていたけれど、山口くんは思っていたより誠実で自分を持った子だった。外見や人気そういうものに全く影響を受けないそんな子だった。


「美樹、仕方ないよね。彼の言うとおり無理があったことは確かだよ。期間限定なんて本来受け入れる人なんてそうそう居ないことだからさ。許嫁がいるってのもあれだし……」


 ほんと慰めの言葉は難しい。こんな言葉でいいのか不安になるけれど。


「千夏さん、今すごく悲しいです。やはり好きな人に受け入れられないって辛いことなんですね。私も、今まで告白してきた方を受け入れられないからと振らなければいけませんでした。みなさんもこういう思いをしてきたんでしょうか。申し訳なく思います」


 ショックのせいか、美樹はちょっと思考が別のところにいってしまってるなと思った。


「ですけれど、今日、山口さんとお話をしてわかりました。山口さんは思ったとおり素敵な方でした。そして確かに振られはしましたが、嫌われているわけではありませんでした。ただ、私の申し出が不誠実と言うだけで。きちんと正して告白すれば考えてもらえるとそう言われたように思いましたが、千夏さん、私間違ってるでしょうか? 」


 美樹は、私にそう尋ねた。


「うん、すぐには返事できないけれどって付くけどね。確かに考える余地はあったって言ってた。というか美樹は前向きだね」


「はい、簡単には諦められませんから。初めて好きになった人ですからね。とにかくできることからしていきます。まずは……許嫁の件ですね。それが片付けば一気に彼に近くなれますよね? 」


 というか許嫁が片付けば素直に告白できるだろうね。でも、それが一番難しい気がするけれど。


「まあ、頑張るなら応援するよ」


「はい、ありがとうございます。千夏さん」




 

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