第03話 断る理由。



 相楽先輩は俺の返事で固まってしまったようだ。隣りにいる遠藤先輩もすこしこわばった顔をしているように思える。でも仕方ないじゃんというかふつう断られそうな内容じゃね? 期間限定とか無理です。付き合うなら一生モンです。好きになったら、浮気しない、離さないって俺にとって重要なところで、ふたつとも条件的に無理だもん。断るしか無いよね。綺麗だからとかお情けでとかできないよ。そんなことしないよ、俺は。


 相楽先輩の隣にいる遠藤先輩から


「一応、理由を聞いてもいいかい? 」


 と断った理由を聞かれた。まあ、話をしても問題ないからいいけど。


「えっとですね、まず期間限定ってのが無理です。付き合うなら一生愛したいし結婚まで考えます。くさいかもしれませんがそうでなければ付き合う気はありません。次に許嫁がいるんですよね? 悪いですが浮気になるんじゃないかと。間男になる気はありません。もし俺と付き合うとするならきちんと許嫁の話を精算してもらうしか無いです。大きなところはこんなところでしょうか?

 あとひとつだけ、実際、相楽先輩に好きと言ってもらえて嬉しかったです。俺のことを見てくれる人ってなかなか居ないんですよね。さっきも話しましたが俺に振られる会話って大体圭佑のことで俺のことを見ようとしてくれない。名前さえ憶えられないってざらなんですよ。なので問題なければ、俺も付き合うことをすぐには返事できないかもしれませんが考える余地はありました。だけど……申し訳ないです。今の話では無理です。ごめんなさい」


 とりあえず素直にふたりに理由を話す。遠藤先輩はきちんと聞いてもらえてるようだけれど、相楽先輩は目に涙を溜めて固まってるようで……見ていられない。誰も泣かしたかったわけじゃない。でも、こんなの断るしか俺には選択肢がないわけで。


 「俺行きますね。相楽先輩本当にごめんなさい。じゃ、さよならです。」


 そう言って俺は屋上から出ていった。

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