第473話石材屋との打ち合わせ そして不動産の麻友

昼食の後は、九条家と関係の深い石材屋と、母由美の供養として墓に設置する地蔵菩薩についての打ち合わせ。


「あまりデフォルメした地蔵菩薩像ではなくて、伝統的な宝珠と錫杖を持った形に」

石材屋

「了解いたしました、特に彫刻家の希望はあるでしょうか」

「特に知り合いの彫刻家はおりませんので、適宜でかまいません」

「何より、きれいなお地蔵様であれば・・・」

「子供の頃、奈良興福寺の国宝館で見た地蔵菩薩立像は好きでした」

「今は・・・問い合わせても修理中とかです」

石材屋

「ああ、それは、私も見覚えがあります、素晴らしくきれいなお地蔵様で」

「確か・・・写真を残してありますので、それに沿って作ります」

「話題を変えますが、夏に石仏調査をします」

「また、教えてもらうことがあるかもしれません」

「その時には、よろしくお願いいたします」

石材屋は相好を崩した。

「はい、それは、京の街衆の評判になっとります」

「毎日、調査に備えて、石仏を掃除する人、お供えをする人」

「石仏掃除のついでに、周辺まで掃除、街もきれいに」


石材店との打ち合わせは、スムーズに終わり、不動産の麻友と、恵理と結の屋敷跡に建てる研修施設兼宿泊所についての打ち合わせ。

麻友

「数種類、お持ちしました」

「共通するのは、総二階」

「九条屋敷が純和風であるので、離れであっても、外観については和風にしたもの」

「和風ながらも、現代的なシャープな直線を意識したもの」

「あるいは、少しクラシックな洋館風」

「また、これは、思い切って現代的なビル」


麗は腕を組んで考える。

「やはり九条家の敷地内に建てるのだから、軽々しくないもの」

「そうかと言って、ゴテゴテするのも、好きでなくて」

「研修施設兼宿泊所なので、機能性も大切」

「できれば、地下室があれば、資材が置ける」


麻友

「了解しました、資材保管を考えれば、エレベーターも必要になります」

「足腰が弱った年齢の方が宿泊される場合でも、エレベーターは便利です」

「尚、給湯システム、エアコン、各種の電気設備などは、全て最新のものに」


麗は、祖母鈴村八重子を意識する。

「それは、よろしくお願いいたします」

「それと、操作が難しくないほうが、助かります」


麻友

「本日のご意見を参考に、また数種類作成してお持ちします」

麗は苦笑。

「なかなか、大変なものですね、一つの家を建てるにも」

麻友は、真面目な顔。

「せっかくお建てになって、これから長年お使いになるのですから」


研修施設兼宿泊所の話から、高輪の家至近のマンション購入の話に移った。

麻友

「来週中に所有権は移転します」

「空き室が、現在4室ほど」

「オーナーも個人で、話はすぐにまとまりました」

麗は、麻友に感謝。

「いろんな話で、ご心配を掛けます」

麻友

「既に、葵様、花園美幸様、奈々子様には連絡済みです」

「引っ越し等の手配も、全て不動産で対応します」


麗が、頷いていると麻友が、ますます真面目な顔。

「麗様、そこで、相談が」

麗は、麻友の顔をしっかりと見る。


麻友は、そのまま麗の手を握る。


麗は、麻友の真面目な顔に、相当押されている。

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