第438話始末とその後

麗は大旦那からの返信を受けて、安心した顔。

「まあ、あの場に直接乗り込む気はなかったけれど」とポツリ。


花園美幸が反応。

「つまり、麗様から大旦那様に連絡、大旦那様から家元に注意、家元から娘の綾乃にと」

葵も納得。

「手間暇かかるけれど、そのほうが結果的に効果は高い」

可奈子は

「綾乃さんも、肝を冷やしたやろな、いい薬や」

麗は苦笑い。

「直接では乱暴と思ったので、大旦那を使ってしまった」

「まあ、京都のためになる、って言われたから」


花園美幸は含み笑い。

「麗様、家元が謝りに来ることも」

麗は、途端に嫌そうな顔。

「それだけは、困るなあ」

葵は麗の真意がわからない。

「それは、家元も綾乃さんも、好かんということで?」

麗は、首を横に振る。

「いや、注意はする、今回のことは、これでおしまい」

「ただ、茶席が苦手なので」

可奈子が、少し笑う。

「そう言えば、茜さんが言うとりました」

「つまり・・・麗様は正座とか、胡坐でも、足がしびれるとか」


麗は、「茜姉さまは、そんなことまで」と、苦々しい顔。


その麗に、花園美幸は、また笑う。

「一度、厳しく整体治療が必要かも」

「時々、猫背ですよ、麗様」


葵も続く。

「読書とパソコンばかりで、運動不足では?」


麗は、反応するのも面倒、結局目を閉じて、寝てしまう。


その麗が目覚めたのは、新横浜を過ぎた頃。

スマホに着信があったようで、目をこすりながら、見ている。

「高橋麻央先生から、今日、研究室に来てと」


葵も反応。

「わかりました、ご一緒します」

「そう言えば、高橋麻央先生と、源氏の話を書く話があって」

「途中でストップしている」

花園美幸

「それは楽しみです、でも、大変や、いろいろで」

「古今よりは、筆が進むかなあ」

「でも、手抜きもできないから、時間はかかる」

「財団も私も、できる限り、お手伝いします、雑用はお任せください」



そんな話になっていると、可奈子が車両の前方を見ている。

「綾乃さんが、またこちらに」

「品川が近づいたので、謝りとか、お礼に来るのでしょうか」

花園美幸

「あそこまで面倒を見られて、はい、さようならも、ないかな」

「まあ、何につけ、大騒ぎするお嬢さんや」

「麗様、適当にあしらって構わんです」

「あまりやさしくすると、つけあがる、そんな娘です」


麗は、「言われるまでもない」と思うので、顔をそむけている。

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