過日現実、生身の悪意

第10話 終わり終わらず、「好き」

「はい、これ」

 ヒサシが珍しく真面目な顔でレンや奥崎、タキへと視線を向けた。

 場所は橘高等学校内、特別練渡り廊下。

 人気はなく生徒たちの声も時折聞こえるだけ。ただ空気が冷え切っているのがレンは気に入らず、眉間に皺を寄せてヒサシへと視線を返す。ヒサシの手に握られているのは一枚の黒い封筒。差出人の住所、名前は不明。

 アカーシャに関する手紙は全てヒサシの場所へと来る。

 その中の一枚らしい。

 不審そうにそれを受け取るレン。黒の封筒は少しばかり重く、レンは眉間に皺を寄せたまま既に開けられた封筒の中身を出した。瞬時にタキの顔が険しくなり、封筒を手にしているレンを心配そうに見つめた。

「なんだ……これ」

 出てきたのは写真。

 それも全てサトルの写真だった。

 学校から帰宅している様子。

 ライブ中。

 打ち上げ。

 スタジオへ向かう途中。

 寮前。

 レンは次々と写真をチェックしてからきつい表情で横にいる奥崎へとそれらを渡す。

「これってストーカー?」

「……の、可能性はあるわよね」

 レンの意見にヒサシも頷きながらゆっくりと確かめるように話し出す。

「……ここ最近の写真みたいだね。服装も夏のものではないし……」

 タキが穏やかな口調で意見を述べる。

 奥崎は写真を全て見終えてからまたヒサシへと写真を返しぼんやりと窓の外へと視線を投げた。

「オク、なんか思い当たるところある?」

「ないな」

 ヒサシの問いに即答する奥崎の表情が冷たく周囲に威圧を感じさせた。レンはその様子に圧されてか、小さく舌打ちをした。

「ったく、どこのどいつだよ。この変態野郎もしくはお嬢ちゃんたちはよ。それともまた妄想ファンか?面倒くせえ。キモいんだよ、やり口がよ」

 苛立ったレンの様子にタキは一息ついてから奥崎の肩へと手を当てゆっくりと笑む。

「今のところはマツ君には黙っておこう。単なる悪戯かもしれないし……ただ一緒に行動はしておいた方がいいね」

「ああ」

 奥崎の表情は崩れることなくタキの意見に同意した。それをきつい目つきでレンは見つめながら奥崎へと話しかける。

「おい、それでその肝心のマツはどこに行ってんだよ」

「あぁ、多分文化祭の準備」

「準備?あいつそんなの手伝ってんのか?糞真面目だな、ホント」

「そろそろだもんね。奥崎とマツ君のクラス何やるの?」

「タキ、今そんなのどうでもいいだろが。つうか、んな場合じゃねえだろ」

 タキの反応にレンが呆れたような声を出す。

「そりゃそうだけど……マツ君が文化祭の時何やるのかどこにいるのか判れば俺たちだって安心でしょ?」

「……ああ……まぁな。ヒサシ先輩はアレだろ?自由参加だろ?」

「まぁね!だから文化祭時は私がマツ君のストーカーになって周囲を警戒することができるわ!」

「俺とレンはクラスでメイド喫茶やるから時間ができたら協力するよ」

「メイド喫茶?」

 奥崎がタキの言葉に淡々と話しながらも首をゆっくりと捻った。

「それで?オクたちは何やるんだよ?」

 レンの問いに奥崎はゆっくりとタキから視線を外して。

「たこ焼き」

「お前ら恒例の生徒玄関前かよ!あ~……だよな。一年は飯作る係みてえなトコあるからな」

 面倒くさいと唸りながらもレンはわかった、と小さく呟いてタキへと視線を向ける。

「二人でたこ焼き、食べに行くね」

 優しげに奥崎へと笑いかけるタキに生返事を返し、奥崎はゆっくりと外に見える葉を落としていく枝を見つめた。

 雲の流れが速い。

 奥崎は薄く降り注ぐ太陽の光に目を細めた。




 寒空は遠く広がる。

 肺に吸い込まれる冷たい空気。

 熱のない太陽の光が校舎を一層白く染めた。

 揺れる電線伝いには鳥の群。

 薄雲ひとつ見当たらない青に黒の淵を背負って鴉が校舎の門に止まった。

 サトルはそれを見つめながら両手に抱えていたダンボールを持ち直した。


 明後日始まる高校生活初めての文化祭。

 広い生徒玄関前には生徒たちが行き交い、声を張り上げて忙しそうだ。寒いはずの空気も今ではもう肌が慣れ、軽く額に汗をかく。

「松崎ーこっち」

 クラスメイトに呼ばれてあぁ、と少し声を張り上げて鴉からようやく目を逸らし、サトルはゆっくりと重たいダンボールを持ったまま歩き出す。

「ここ。ここに置けばいいよ」

「おう」

 陽気な表情のクラスメイト。サトルも自然に笑みを零してダンボールからようやく手を離した。


 天候のせいか、久しぶりに気持ちが良い。

 体は快調。

 あれから数日、穏やかな日が続いた。

 ライブも成功。

 シノブは生徒会で朝から晩まで学校にいる事が多くなった。

 奥崎とは学校で少し話をする程度。

 文化祭が終わるまではライブは自粛すること、と学校側との決め事があるらしかった。

 ひとり、部屋で本を読んだり。

 最近趣味としてCDをレンタルしては曲に没頭して、誰かの歌声に誘発される自分自身が妙に心地よかったり。

 高校に入って。

 こんなにも歌に心を惹かれるようになるとは思ってもみなかった。でも今では旋律や言葉、そんな音楽を作るものが好きでたまらない自分がいる。バンドのメンバーには大きな声では言えないが、ライブをしたくてたまらない衝動がたまにあったりもした。

 自分にはこれしかないからか、サトルにとってはかけがえのない場所になっていった。

 好きでたまらない衝動。

「……そういえば」

 小さく呟く。

 あれだけ嫌だった心臓の音。

 それで生きていることを実感できるようになれた気がした。何故あんなに嫌だったのか解らないほど。生きることが、死ぬまでの膨大な時間が恐ろしかった事さえ、薄らぐ程。

 何かが変わったんだとサトルは自覚した。

 暗闇に向かって叫ぶ場所ができたからか。

 それとも自分にとってかけがえのない術を見つけたからか。

 ただ、今がとても大切なように思える。

 そんな今がかけがえのない毎日だと思った。


 鴉が威勢良く警戒するかのように鳴いた。


「よーし、一年。あとは食材切って焼いてを当日頑張ればOKだ」

 各一年生担当の場所に三年生のリーダーが引率してやることを教えていた。自分たちよりも発達した体つき。伸びた身長。一年生と三年生だとこんなにも体格的に違いがあるなんて、奥崎はやっぱり同じ学年とも思えない。サトルは少し笑った。

「ん?……あぁ!松崎サトルだろ?お前」

 急に名をフルネームで呼ばれてサトルは内心驚きながらもゆっくりと頷いた。名を呼んだ三年生は人懐っこい笑みを浮かべながら手にしていた軍手を外してサトルへと歩いてくる。それを困ったように見つめる。側まで来ると本当にその三年生は身長が高く、サトルは少々圧倒された。周囲の生徒たちもいつの間にかその様子を伺っている。

「そんなビビるなよ。松崎サトルはもう有名人だろうが」

 屈託なく笑いながら肩を軽く叩く先輩に動揺しながらも必死に笑顔で対応するサトル。その様子に三年生は噴き出してサトルの頭を大きな掌で撫で回した。

「やっぱコウジから話聞いた通りの子だなぁ~、そんな緊張するなって。別に取って食ったりしねえから」

「え!こ、コウジ?あ、生徒会長のことです、よ、ね?」

「そうそう。コウジな。俺コウジの友達の西門シギっていうから。よろしくな。この前のライブ良かった」

「あ、ありがとうございます。西門先輩」

「シギでいい。堅ッ苦しいの嫌いだから、俺」

「は、はい。シギ先輩」

 おどおどしたサトルの様子を気にするわけでもなくシギはまたサトルの頭を撫で回した。

「チワワみてぇだなぁ~お前」

「ち……チワワ……?」

 疑問そうにサトルは小声で言うも当のシギはまた屈託なく笑って、それにつられてか周囲の生徒たちも笑っているようだった。ムードメーカーってこういう人なのかもな、とサトルは頭を撫でられながら思った。


「シギ」


 瞬時に周囲の空気が変わった。

 圧倒する声。それに存在。

 サトルは声の主が誰か、すぐに理解した。


「お、お疲れ様です……」

 サトルはすぐにコウジへと体を向けて頭を下げる。クラスメイトも動揺しながらもそれに合わせて頭をコウジへと下げる。コウジは小さく笑って下級生へと会釈するとシギへと視線を向ける。

「このクラスの一年生担当リーダーってシギがやるんだ」

「ああ、みんなでわいわい行動する方が俺は好きだからな。我がバスケ部は一年に力貸すことにしたんだ」

「へぇ。いいんじゃない」

「あ、それで食材の件なんだけどな」

「なに?」

 急に二人で話し込むコウジとシギの横からサトルはそっと横へと一歩ずれて徐々に距離を置いた。


 珍しい光景。

 学校でどこにでもあるような風景なんだろうけど、あのコウジが他の生徒と談笑しているなんて。多分初めて見る光景。いや、多分初めて見るのはコウジのあんな穏やかな顔。自分の首を絞めてきたあの時とは程遠い、表情。

 サトルは暫く周囲の片づけをしながらそんな二人の様子に目を向けていた。


 時間は小さく動く。

 空は未だ青く眩暈がするほど広く、深い。

 冷たい風はいつの間にか止んでいた。




「マツ」

 不意に掛けられた声に我に返る。

 いつになく険しい奥崎の表情。

 サトルは目を見開いた。

「オクさん?」

 あらかたの準備を終えて一緒に校内に入ってから一言も話さなかった奥崎のその表情にサトルが戸惑って名を呼ぶと、はっとした様子で奥崎が話し出す。

「……あ、悪い。クラスの方準備できたのか」

「うん。指示くれる三年の先輩いてくれてたから助かった」

「ああ、シギだろ。コウジの幼馴染だよ」

「そうなんだ」

 奥崎の言葉が腑に落ちて、先程のコウジの穏やかな表情に納得する。いつもどこか危うそうで、周囲に対する威圧感も正直、尋常ではなかったけれど、普通に接する相手が居ることになんとなく、サトルはほっとした気分になった。

 それより。

 いつになく気が立っているように見えるのは今自分の前を歩く奥崎に感じた。無表情、というより気分が悪そうに伺えるその様子にサトルは息が詰まった。自分たちのクラスへと入り奥崎が自分の鞄を手に持つとサトルへと顔を向ける。その表情はやっぱり険しい。

「帰るぞ。用意しろよ」

「?帰るって言ったってまだ文化祭の準備……」

「いいから。一緒に帰ろう」

「……わかった」

 サトルの声を遮って奥崎が少し声を荒げる。不穏な様子にサトルは机の中の教科書類を鞄へと急いで入れて廊下で待つ奥崎へと走った。

 誰もいない廊下はいつになく狭く感じた。

 学校から寮まで先を歩く奥崎の少し後ろをサトルは付いて歩いた。ふと奥崎がサトルへと振り返り、不思議そうな表情で見つめてくることに気付いてサトルは一瞬立ち止まった。

「?どうかした?」

「……いや、ちゃんと隣歩け。なんで少し後ろ歩くんだ?癖か?」

「あ、あぁ。そう、かもしんねえな」

「じゃあちゃんと俺の横に並んで歩けよ。別に嫌じゃねえ」

「……うん」

 ぎこちなくサトルが奥崎の左横へと駆け寄り、奥崎もサトルの歩行に速度を合わせて歩き出す。

 正直、慣れない。

 歩く場所に違和感。

 サトルは少し離れて奥崎の隣を申し訳なさそうに歩く。電線の鳥が一斉に飛び立つ音に雲ひとつない空を仰いでから正面へと顔を向けると、心臓が瞬時に強く音を立てた。派手な格好でこちらを睨むように見つめる小柄な姿。染められた長い髪が風に靡いて、一見女の子のようにも見えた。

 ――キョウイチ

 サトルは生唾を飲み込んで無意識に目を背けた。

「キョウイチ」

 奥崎は驚いた様子もなく声をかける。キョウイチの前まで歩いて立ち止まると不快そうなキョウイチのため息が耳へと届いた。

「急に呼び出してなに?俺は別にやましい事なんてもう考えてないけど」

「……待たせたなら悪かった。部屋で話そう。マツ、じゃあな」

「う、うん……」

「じゃあお邪魔しまーす」

 奥崎は淡々と述べてからサトルへと顔を向けて話し終わると素っ気無く寮内へと入っていった。その後を付いていくキョウイチ。その表情は少し嬉しそうに、横目でサトルを見てから奥崎へと駆けて行った。

 眩暈がする程の青空。

「……あー……ちょっとショック?かな……」

 サトルは呟いて、時間を置いてから重い足取りで寮へと入っていった。




 目の前に広げられた写真の束。キョウイチはソファに深く腰をかけたまま、テーブルに散らばった写真の一枚を手にとって鼻先で笑った。

「なにこれ?みんなの思い出の写真とか?」

「……手紙だな。ヒサシの所に届けられた」

「熱狂的なファンがついたみたいで良かったね、松崎先輩」

「…………」

 沈黙した時間、徐々に深くなる奥崎の厳しい表情にキョウイチは不満そうに目を大きく見開いて手にしていた写真をテーブル上へと戻す。

「……なに?」

「熱狂的ファン、ね。正直俺はお前を疑ってる」

「は?ふざけないでくれない?俺じゃない」

「そう思いたいところだが、そう思われるような行動をしただろ。疑われて当然だとも自覚できるだろ」

「それで呼び出したわけ」

「そうだな」

 キョウイチの問いに淡々と事務的に答える奥崎。それに一層不快な表情を浮かべるキョウイチは小さく舌打ちをした。

「悪いけど、この件は知らない。嫌いな奴を写真で取る趣味はない」

「誰かにまた頼んだとか?」

「してない!もうそういう性格悪い行動するの止めたんだよ俺は」

「ふぅん。そうか」

「本当に俺じゃない。松崎先輩のこと、好きじゃないけどこんな悪趣味なやり方はしない」

「……そうか。ならいい」

 奥崎はテーブル上の写真を一纏めにしてまた黒い封筒の中へと仕舞った。

「その封筒に入ってきたの?」

「まぁな」

「単なる嫌がらせ、じゃないの?俺の時も似た事あったじゃん?」

「……それで済むなら構わないんだがな」

 奥崎の返答に不満げな反応をしてキョウイチが座り直す。

「そんなに心配?俺の時はそんなに心配してなかったじゃん。そんなに大事?」

 投げやりに問いかけるキョウイチには目もくれず、奥崎は暫く黙って手にしている封筒を見つめてから口を開く。

「……少なくとも心配なのは確か、かもな」

「え」

 小さく声を出すキョウイチ。こんな様子の奥崎をキョウイチは見たことがない。よく知っていると思っていたのにまるで、知らない人のように感じた。


 なんだ

 答がもう出てるのか

 ふさわしいとか、ふさわしくないとか

 そんなことに拘っていたのは俺一人

 バカみてぇ


 キョウイチはぼんやりと奥崎の背中を見て笑った。

「……そんなに心配なら守ってやれば?大事なヴォーカルなんでしょ?」

 思ってもいないことが口を突く。背中には嫌な汗。ざわつく胸元。それでも。

「あ~あ、負けちゃったっていうか、始めっから俺問題外じゃん」

 意地になる自分の悪い性格。笑顔が今度は漏れる。

「まぁ、正直歌も上手いしね。俺とはジャンルが違うけど人気出るのも解るよ、うん」

 次から次へと漏れる心にもない言葉。


 カッコ悪いのが嫌だから。

 いつだって強気で孤高の存在に憧れるから。

 そういう自分を目指してるから。

 だから嘘を。

 嘘をつかなくちゃ。

 泣くのは、嫌だ。


 返答のない奥崎の背中。

 その手に握り締められた封筒。

 どれもこれも、自分のもの、じゃない。

 キョウイチはそう思って笑った。


 視界が、曇る。


「俺、帰る」


 声を振り絞るように出してキョウイチはソファの横に置いておいた鞄を手にすると立ち上がりドアへと勢いよく振り返った。情けない。まだ奥崎の部屋を出ていないのに涙が頬を伝って流れ出す。ぐい、と体が後方へと引かれ、強く自分を抱きしめてくる奥崎の腕。

「悪かった。傷つけたな」

「……オク」

 キョウイチは名を呼ぶとその場に崩れそうになる。それを奥崎が全身で抱きしめる。しんとした室内にキョウイチの擦れた泣き声が響く。


「本当に、好きだったよ」


 震えた声が静寂に飲まれる。

 奥崎の頷きに、キョウイチはようやく安堵して涙を流した。




 聞き慣れた足音。

 サトルは勉強机の椅子に座っていたがドアへと顔を向ける。ドアノブが回り、開けられたドアから疲れきったシノブの姿が現れた。

「……ただいま」

 声もいつになく暗い。部屋に入るなり早々シノブは着ていた制服を脱ぎ捨てると白のジャージへと着替える。

「はぁー……マジ疲れた。もうムリだ」

「珍しいな、神崎がそんなこと言うなんて」

「バカ、俺も立派に人間なんだ。疲れたりするっつうの」

 そう言って二段ベッドの下へと寝転がるとシノブは全身を伸ばしてまた深くため息をついた。

「……少し寝れば?最近ちゃんと寝てねえだろ?」

「いいや、大丈夫だ。それよりお前も珍しいな一人で勉強してるなんて。バンド活動ないから暇なんだろ?」

「まぁね……。ずっと忙しかったからどう時間使っていいのかわかんねえかも」

「はは、折角の文化祭だ。好きなことしろよ」

「うん。まぁ……そうする」

 ――ホントは。

 ――ホントは歌を歌いたい、なんて言ったら引かれるよな……

 サトルはそう思って誤魔化し紛れに笑って見せた。シノブはサトルの笑顔を見て少し皮肉そうな笑みで返すもすぐに口を閉ざした。

「つうかなんかあった?」

「え」

「なんかあったんだろ。顔見ればなんとなく解る」

「あぁ……まぁ。そう、かもしれねえ」

「オックか」

「……ごめん」

 嫌味たらしいシノブのため息が部屋に充満する。それからシノブは体を起こして再度ため息をついてからサトルへ向き直り真面目な顔をした。

「あのな、謝るなよ。俺が勝手にお前に好きだって言った。勝手な事なんだぜ?お前の気持ちを知っててお前に俺の気持ちを暴露したんだからな。だからお前は別に俺に遠慮しなくていいんだ」

「……神崎、そう言うけどさ」

「優しすぎるってあんまりよくねえことだぜ?マツ」

「……優しく、ねえだろ」

「それは人の取り様だろ。俺から見ればお前は危なく感じる位優しすぎる。だからほっとけねえんだよ」

「ごめん」

 サトルは口を閉ざして少し俯いた。そんな様子にシノブは呆れた様子で見つめていると少し笑った。

「まぁいいわ。で?どうした?」

「……あぁ、今……オクさんとキョウイチ君が一緒にいるみたいで、さ。なんか……」

「気持ち的に落ちつかねえか」

「…………わからない」

「……じゃあ、気分が悪い、とかかもな」

「気分?」

「なんつの、『不愉快』?別に恥ずかしいことじゃねえ」

「そう、かもな。不愉快、なんだろうな、俺」

「そ。不愉快なんだよ、お前」

 笑って話すシノブの顔。入学当時から、嫌味くさいその笑み。でもサトルにとってとても好きな表情。

「だからオックといて辛くなったら俺にしとけよ」

「……なにそれ」

「マジで」

 ふざけた会話の中にシノブの優しさがある。

 サトルは小さくごめん、と呟いてから深く息を吸って、笑顔を作った。


 橘高等学校文化祭開催。


 天気は晴天。


 開催式が終わってすぐにサトルたちのクラスは生徒玄関正面へと集められた。そこには奥崎も珍しく参加していて、指示を出す三年が声を張り上げた。

 シノブは校内へと生徒会の仕事で入り、周囲には普段会話したことのない生徒たちがぎこちなさそうにも楽しげに会話をし出した。


「マツ」

 奥崎が自分へと近づく。

「お前、今日の休憩は?」

 クラス全員がシフト制にずらして休憩を設ける形を取っている。奥崎は午後2時、サトルは午後1時からだった。渡されていたプリントをサトルが確認してから自分よりも身長のある奥崎へと顔を向ける。

「俺は午後1時。オクさんは2時だよ」

 その返答に奥崎は小さく舌打ちをするもわかった、と無愛想に応えると玄関前に設けられたテント下へと歩いていった。サトルはその奥崎の背を見送ってから三年から無理やり渡されたダンボールを手に持って玄関前階段へと歩いた。

「重そうだな、松崎サトル」

 気さくな口調で自分へと話しかけてくる人物へと顔を上げる。以前コウジと自然に会話をしていたシギの存在にサトルは何故かほっとした。

「シギ先輩、お疲れ様です」

「よ、今日は忙しい裏方仕事だけどやりがいはあるぜ?たこ焼き」

「はい」

 相手の笑顔につられてサトルも笑んだ。

 学校正面門からちらほらと外部の人間が参加してくるのが見え始める。

 折角の文化祭。

 サトルはいつもと違う高揚感を感じた。


 昼近く。

 一時から休憩のはずの奥崎の姿はなく、多分サボりに行ったんだろうとサトルは思いながらテント内でしゃがんだ。

「疲れたか~?松崎」

 陽気な同級生の声。

「ちょっと。つうか熱ぃ」

 サトルも笑ってそれに応える。

 周囲の一年生も焼きそばや焼き鳥、ジュース等の販売に大忙しの様子。いつもとは違う賑わいにサトルは気分が良かった。興奮にも似た、ライブ前のような感覚。他の生徒たちの笑顔も気持ちが良い。時折、校内から歓声が聞こえ、体育館からはブラスバンドの音楽がここまで届いて聞こえる。今頃、シノブも生徒会で大変だろうと思いながらしゃがんでいた足が鈍く痛み出した事に顔を歪めた。

「悪い、ちょっとだけ休憩」

「おー行って来い行って来い!でも逃げるなよー」

 調子の良い同級生の声にサトルは笑いながらその場を離れる。腰にかけていた黒のエプロンを外して汗ばんだ首筋を掌で拭いながら校内裏へと歩き出す。

 途中自分の横をすり抜けて走っていく小学生の集団。それから父母の団体。様々な人間が集まってきていることを横目で確認しながら人気の少ない校内裏へと曲がる。ちょうど、人の気配はなく他の音や声もここには届いてなかった。静寂した葉の茂る音が秋空を濃く色づける。

 サトルは影になっている階段へと腰を下ろすと体を伸ばした。

「……ちょっと……疲れた」

 空を仰いでから、そのままゆっくりと瞳を閉じる。


 先日感じた『不愉快』

 シノブに感じる『後ろめたさ』

 そんな感情は、今まで知りもしなかったこと。

 多分、人を好きになったから気持ちが覚えた感情。

 ぼんやりとキョウイチのことを思うも、正直、嫌いと突き放す気分にはならなかった。

 人を好きになることはそんなに安易なことじゃないことを知ったから。

 ――好き、だけじゃ、ダメなんだ。

 サトルはそう思いながらゆっくりと瞳を開けた。


 瞬時。


 フラッシュのきつい光に体がビクついた。

 なにが起きたのか理解できず、光が発した方向へとすぐ視線を向ける。

 数回瞬きをして。

 ようやく自分から少し離れた場所に人がいることに気付いた。


「……え?」


 目を疑う。


「よぉ、松崎」


 心臓が、一つ飛ばしに大きく鳴った。

 耳にこびりついてしまった声。その主。

 サトルは己の目を信じたくなくて何度も何度も目を泳がせた。

「あ……」

 必死に漏らす声。自分がどんな、どんな表情を今しているのかわからない。

「……もう偉くなっちまったから俺の事忘れたのか~?薄情だな、お前」

「お、覚えてるよ」

「そっか、なら良かった」

 レンズ越しから、ゆっくりと相手の顔が見える。立てた茶髪。耳にはいくつものピアス。ダメージジーンズに黒いスカジャン。

「久、しぶり……」

 怯えたような声が出た。


 鷲尾。

 鷲尾トウジ。


 蛇のような細い目がサトルを見てゆっくりと口角を上げた。暑いと思っていたはずなのに温度がわからない。五感は狂ってしまったのだろうか。他の音も何も聞こえない。外気に曝された肌が何も感じ取れず、ただ背中にはびっしょりと汗が流れた。

「松崎。聞いてんの?」

「あ、……ごめ……」

 サトルの横に座って鷲尾は楽しげに笑い、手に持っていたカメラを鞄へと仕舞った。

 時折二人の横を制服姿の男子が群れて楽しげにしながら横切る。

 手元がおぼつかなく動き、日の当たる場所との空気の違いにサトルは戸惑った。影になっているからこんなに寒いのか。熱が本当はまだあって、だからこんなにも頭が熱いのか。サトルの視線は落ち着くことなく遠くから近くへと動いたまま。

 隣からため息混じりに笑う鷲尾の息が聞こえた。

「まさかお前がアカーシャのヴォーカルやってるなんてな。驚いたぜ」

「……どうして知ったんだ?」

 変な問いかけだったか、サトルは鷲尾の顔色を伺いながら尋ねる。鷲尾はきょとんとした顔で一瞬サトルを見つめるもすぐに笑って。

「そりゃ中学の親友がバンドやり始めたなんて話、どこからでも聞こえてくることだろ?バカか?お前」

「……ごめん」

「変わらねえなぁ、お前は。そんなんでヴォーカルできてんのかよ」

「……わからない」

 何を話しているのか、あまりの緊張でサトルは徐々に解らなくなっていった。心臓ばかりがずっと嫌な音を発し続け、まるで警戒音のように体の中で鳴り響く。この音。心臓の。

 鷲尾はそんなサトルの様子を見ながらふぅん、と鼻先で応える。

「あ、そういえばさ、俺の最近の趣味。カメラ。結構ハマッてて楽しいんだこれが」

「そっか……」

「あぁ、陸上より全然楽しい。レンズから覗く人の顔、裸眼で見るよりなんていうか……リアルに映るんだよな」

「……へぇ」

「なんだ?その興味ない反応。松崎、ノリ悪ぃぜ?いつもお前はそうだよな」

「……そう?」

「そうだろ?ずっと友達やってんだ。お前の事なら理解してるっつうの」

 ――ふざけるな

 カッと体が瞬時に熱くなる。サトルはそれを顔には出さず、小さな声でそうか、と答えるだけにした。

 何だか思うように体が動かない。

 胸元の心臓は異常に強さを増すばかりで。

 サトルは軽く眩暈を起こした。

「お前、顔真っ青だぜ?大丈夫か?」

「あぁ……大丈夫」

「一応心配してるんだぜ?なんせ友達だからな」

 ――友達ってなに?

 サトルは不快な思いを噛み殺すために少し笑った。

 それに気持ちよさ気に笑む鷲尾。

 ――いつまでここにいる気だよ

 気持ちが不満を述べた。

「あ、そうそう」

 鷲尾がそう言いながら鞄の中へと手を入れてなにやらごそごそと探し出した。黙ってその様子を見つめるサトル。

「あった」

 鷲尾はそう言うと鞄から取り出した一通の手紙をサトルへと差し出す。それを不審そうに見つめてからゆっくりと手紙を受け取ったサトルを見て、鷲尾が小さく笑う。

「元陸上部の連中の飲み会。そのご招待券、お前にもやろうと思ってさ」

「陸上部、の?」


 ドクン、と心臓が音を強める。


「そ。みんな有名になったお前に会いたがってるんだ。絶対来いよ」

「……暇ができそうだったら」

 サトルはゆっくりとした口調で申し訳なさそうに答えると鷲尾の表情が瞬時に曇ったのがわかった。

「暇だったら?おいおい有名人って暇なしかよ。折角みんなお前に会えるって言ってたのに。可哀想だろ?絶対来いって」

「……わかったよ」

「確かに渡したからな」

 そう言って鷲尾が笑みを浮かべながら立ち上がる。

 それを無表情で見つめるサトル。

「ずっとお前に会いたいと思ってたんだぜ?俺。お前進学先も教えないまま卒業したじゃんか。ちょっと傷つくだろ?そういうことされると」

「……言う機会がなかったから」

「……なら、仕方ねえな。……まぁ、あんまり天狗になるなよ。アカーシャのヴォーカルとはいえ俺らには関係ない。お前は俺の親友に違いねえんだから」

「……肝に銘じておくよ」

「よし、じゃあな」

 声高らかに手を振りながらその場から駆け足で去って行く鷲尾をただ黙って見つめる。


 この感覚。

 知ってる感覚だとサトルは自覚した。

 人間が、景色が、灰色になる。

 みるみる目の前で色が抜け落ちて広がる景色はまるで見慣れない場所のようだ。


 『みつかった』


 サトルは急に自分の中に込み上げてきた言葉に、胸苦しさに顔をしかめてしゃがみ込んだ。遠くから聞こえてくる歓声。まただ。遮断されてしまった空間に、また閉じ込められたんだ。サトルは荒い息遣いでその場にしゃがみこんだ。


「具合、悪いの?」


 サトルが顔を弾かれた様に上げる。

 驚愕したその様子に声をかけたキョウイチが一歩後方へと下がった。

「あ……」

 小さく、泣きそうなサトルの声。

 キョウイチは尋常ではないサトルの様子に目を細くしながら側へと駆け寄った。

「松崎先輩、まだ本調子じゃないんじゃない?……大丈夫なの?」

「……ごめん、大丈夫。大丈夫だから」

「そんな顔色でよく大丈夫って言葉使うよ。……さっきの人、……友達?」

 熱くなった瞳が一層見開いて乾いた土へと視線を落とす。

「あ、……うん。中学時代の」

「……ふぅん」

 不審そうにキョウイチが鼻先で答える。

 口から嘘がまた漏れた。

「ホント大丈夫?もしあれならオク探して呼んでくるけど」

「いい、別に本当に大丈夫だから」

 きつい口調が無意識に口から出たことにサトルはあ、と小さく声を出してからごめん、と謝りながら立ち上がるとキョウイチの横を足早に通り過ぎた。

「松崎先輩!」

 後ろから聞こえるキョウイチの声。

 サトルはそれでも振り向けず、ただ当てもなく歩いた。


 ――奥崎には関係のない人間だ。

 ――奥崎を関わらせない。


 サトルは焦燥感に額から汗を流した。

 自分の胸の内を追いかけてくる焦り。

 それから逃げるようにサトルは人の行き交う校内を走った。周囲の人間は振り向き様にサトルを見送りアカーシャのヴォーカルに感嘆の声を漏らすもサトルの耳には入ってこなかった。

 風を切るようにただ前へ、前へ。

 サトルは進む先に現れた冷たい銀のドアノブへと手をかけ、一気に引く。バンと音を立てて、開かれたドアの先には遥か遠くに広がる青空。そして水分を失って乾ききった葉の群衆の音が響く。

 荒くなった自分の息遣いが泣いているように聞こえて、下唇を噛む。額から流れる幾筋もの汗。


 全てを遮断するかのように鉄製のドアを閉める。


 口から吐き出される生温かい自分の吐息が乾く。目の前の景色が徐々に曇り、サトルは自分が泣いていることに気付くとドアに寄りかかってゆっくりとしゃがみこんだ。


 手にしていた渡された手紙はぐしゃぐしゃで。

 その掌は冷たく冷えて。

 きっと弱さで顔は歪んでいるだろう。

 きっと浮き彫りになってしまった現実に自分はうろたえているだろう。

 サトルは鳴り止まない心臓に苦し気に息を吐いた。


 耳に付くこの心音。

 収まらないこの掻き立てられる様な焦り。

 まるでそれを煽るように胸の奥で鳴り続ける心臓。


 ――この感じ。

 ――この感じが大嫌いなんだ。


 サトルはゆっくりと呼吸を細くして肺へと空気を吸い込む。だが、心臓は一層耳へと近く聞こえてくる。どうしていいのかわからず、サトルは自分の胸元をぐっと押さえつけるも一向に変化がない。


 ――いつもは、いつもはどうしてた?


 開かれた瞳から流れる大粒の涙。サトルは涙を拭うこともせず、ただ心音を止める方法を考えた。


 ――苦しい

 ――止まれ

 ――止まれ!!


 その時、急な人の気配にサトルは威嚇する動物のように敏速に音のした方向へと顔を上げた。


「……マツか。誰かと思ったぜ」


 ――オクさん


 そう思ったと同時にサトルは奥崎へと走り出していた。


 片手に吸いかけの煙草を持った奥崎は瞳孔を大きくして自分の胸元へと抱きついてきた松崎を珍しげに見つめた。自分よりも体格の大きい奥崎の胸元へと顔を押し付けて、涙が汚れた屋上の床へとパタパタと落ちた。


 ――助けて

 ――助けて


 気持ちの中で叫び続ける言葉。サトルは固く目を閉じたまま奥崎へとしがみつく様に抱きついたまま。奥崎はその様子に動揺することもなく、ただ持っていた煙草を持ち直してサトルへとぶつからないように気をつけながらゆっくりと片腕でサトルの体を優しげに抱きしめた。

「……どうした?」

 低く、優しげな奥崎の声が体を通してサトルへと伝わる。サトルは黙ったまま顔を更に俯かせた。

「……珍しいこともあるもんだな」

 奥崎の心音。それと同時に煙草の煙を吐き出して動く奥崎の胸元。徐々に弱まっていってるのは多分、己の心音だと自覚するとサトルは落ち着いた様相で深く呼吸した。

「お前もサボりに来たのか」

「……オクさん、やっぱりサボってたんだ」

 泣いたせいで掠れたサトルの声が小さく震えて笑った。奥崎は手にしていた煙草を床へと落とすと両腕でサトルの体を包み込む。

「ダルいだろうが、文化祭」

「……そっか」

「たこ焼き作るのに失敗でもしたのか?」

「……あ、あぁ、なんか、そんな感じ?かな……俺、料理とかやったことねえから」

「料理は経験よりセンスらしいじゃねえか」

「そうなんだ」

「……下手糞でも単なる文化祭だ。逆に失敗は良い思い出になる」

「そうだね」

 奥崎の深い呼吸がサトルへと伝わる。

「ライブ」

 小さくサトルの声が聞こえて奥崎が眉を顰めた。

「ん?」

「俺、ライブやりたい」

「マジ、珍しい発言だな、ソレ。ヒサシやレンが聞いたら泣いて喜ぶぜ」

「ホント?」

「ああ、ホントだ。ライブ、な。わかった。伝えておいてやる」

「うん」


 あの


 あの白い世界がいい

 白い世界から目の前の暗闇へと叫ぶ

 恐怖を遮断するため

 その場に手錠で繋がれて

 必死に二本の足で立って

 強く強く叫ぶ

 自分自身さえも吹き飛ばすため

 周囲へと高く強く

 同じステージ隣に立っていられる場所


 かけがえのない

 失いたくないあの場所


 世界は変貌を遂げた

 その世界を自分は知った

 世界は変貌を遂げた

 もう振り返らない

 振り返りたくない

 自らが居たいと望むあの場所

 あの場所が自分が生きていると実感できる場所

 生きていいんだと思える場所

 死にたくないと強く思える場所


 昔の色のない光景がひどく怖い

 もう過ぎ去った過去だ

 過ぎ去ったはずの思い出だ

 絶対に振り向いちゃいけない

 側に


 側に来るな


 徐々に強まる不安にサトルは強く奥崎へとしがみついた。

「ごめ……今だけ、今だけこうさせてほしい」

「……あぁ」

 気持ちを和らげるような奥崎の声。


 好きだ

 好きだよオクさん

 不安も焦りもあんたが吸い取ってくれる

 こんなに臆病な俺を許して欲しい

 でも

 こんな自分でも

 きっとあんたの隣できちんと立ってみせるから

 胸を張ってあんたの隣で


「ごめん、……好きだよ、オクさん。ごめん、ごめん……」


 涙声で想いを口にするサトル。

 頬を伝う涙は未だに細い線を描いて地へと落ちていく。

「……俺はそんなに鈍感じゃねえよ」

 奥崎はそう言うと自分の胸元で泣くサトルの顎を片手で緩く掴むと自分の方へと顔を上げさせ小さく笑って。

「アカーシャのヴォーカルが。めちゃくちゃ泣きやがってまるでガキだな、お前は」

「……ごめ」


 震えるサトルの謝罪の言葉を遮ってその唇に落とされたのは奥崎の唇。


 優しく柔らかく重なる唇。


 瞳を閉じている奥崎の瞳が目の前に見える。サトルもゆっくりと目を閉じて軽く触れる唇の感触に胸元を熱くした。


 この場所にいたい

 だからこの手で

 柵を絶ってみせる

 オクさん

 あんたの隣できちんと立てるように


「俺もお前が特別だ。少しは甘えろよ」


 そう言って奥崎が静かに笑った。

 サトルはその笑顔にまた泣いた。

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