第3話 緊急任務
20時頃 『遊撃隊』の寮のロビー
食事を済ませた一行が、自室に戻る前にロビーで話していた。
「明日の任務なんだがな」
大剣を担いでいた少年、フレイヤが上質な紙を取り出す。
「緊急任務か」
本を操る少年、ヴォルフラムが考え込む仕草をする。
「そう、そうなんだよ」
「珍しいな。ここ半年出てなかったってのに」
エッジの少年、ユハニが髪を掻きむしる。
緊急任務。
何よりも重要な任務。他の任務を破棄してでも優先しなければならない。
出されることは滅多になく、余程のことがなければ出されない。
「・・・・」
ハンドガンを器用に回す少年、ロランは彼らを一瞥する。
「場所は?」
「サフォイア公国。隣の、小さな国だな」
「それぐらい地理で習っている。馬鹿にするな阿呆」
ヴォルフラムが悪態をつく。
「・・・なぜ、そこに?」
「さぁ。だが、そこに上位種がいるとだけ」
「・・・上位種、か」
上位種。
ただのオートマタは、「敵を破壊するだけしか」知能を持たされていないが、上位種は違う。
「感情を持ち、その場に応じて柔軟な対応をすることができる」オートマタだ。
並の戦士では歯が立たず、数で物を言わせることもできない。
「俺らが行っても正直、雑魚狩りしかできない気がするが」
「やっぱり隊長副長レベルないとなー」
フレイヤとユハニが愚痴を言う中、ロランは首を振る。
「でも、任務だから。行かないと」
「わかってるさ」
フレイヤは背伸びする。
「敵の数を減らすぐらい、役に立たないとな」
フレイヤのその言葉に、ヴォルフラムが口角を吊り上げる。
「わかってるんじゃねぇか、フレイ」
「そうだよなー、普通のオートマタでも一般人にとっては危険だもんな―」
ユハニも口を尖らせながら肯定する。
「行かないといけないもんな―」
「・・・」
ロランは少しだけ口角を上げ微笑んだ。
_____ねぇ、
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