第1.5話 彼らのその後

数十分後。 

「お疲れさまでした」

受付嬢のルビー・ガーネットは報告書を受け取り微笑んだ。

報告書は銃の少年が書いたものだ。

字は女のように綺麗で、細かく詳細が書かれている。

「・・・そうですか。「紅い宝石」をはめた上位種は見られませんでしたか」

「きっとあれは捨て駒だろう。敵の情報を奪うためだけの」

大剣の少年が言う。

その言葉に、ルビーが同意した。

「ええ、特別なマイクロチップが埋め込まれてる形跡もなさそうですし」

十中八九そうでしょう、と言って。

再び微笑む。

「ご苦労様でした。どうぞ、お部屋でゆっくりおくつろぎください」

「ああ、ありがとう」

手当を受け取り、踵を返す。 


傍で待っていた少年らと合流し、寮へ戻ろうと歩み出す。

厚みのある封筒を振りながら、少年たちは談笑する。

「夜は下のレストランで食べるか?手当出たし」

「お、いいな。あそこの店長めっちゃ美人なんだよなぁ~・・・」

エッジの少年が顔を紅潮させる。

「その理由はさておいて俺もその店にいくのは賛成だ。あそこのじゃがバターは最高だからな」

本を肩に担ぎながら、少年は螺旋階段をあがる。

「・・・・いいと、思う」

何か考え込む様子の少年に、大剣を担いだ少年は顔を覗き込む。

「どうした?浮かない顔だな」

「・・・・いや」

仮面の少年は、螺旋階段を足早に駆け抜け部屋へ戻ってしまった。

「何だ、あいつ?腹でも痛いのか」

「さぁな」

本の背を撫でながら、少年は素っ気ない返答をし部屋に戻る。

釈然としないまま、「じゃあ、下に6時ごろ」とだけ伝え、2人も部屋に戻った。

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