第4話 (35)

「ちょっと待った。よぉ、久しぶりだなぁ…リュート」

「…チッ…お前監獄から抜け出したってのかよ」

「い~や、ちょちょっと独房をリフォームしてたらクッセェし汚ぇ水がある廊下下水道とぶち当たってよぉ。

 へっ、あの忌々しい双子もいねぇことだし…おめぇひとりじゃ何も出来ないからな」


 くそが…レイラは…俺の手を握るこのレイラだけは守らなきゃ…。


「リュート…私も戦う…」

「やめろ。魔法は効かねぇ。それより早く衛兵呼んでこい」

「…くっ…命令してんじゃないわよこの亭主関白!」

「行かせねぇに決まってんだろ?リフォームは俺だけがしてたわけじゃねぇんだぜ?」


 最初から予定してたかのように男共が現れる。

 俺1人でもなんとかしてやる…。ふぅ…。


「ひとつ、教えてやる。威勢がいいのは内心怯えてる証拠だとよ」


 誰かが言ってた。あぁ、アイツらは怯えてる。暗示を掛けろ…。

 怖くなんかねぇ…。


「はっ、その言葉そのまま返してやるよ。いくぜっ!」

「くんじゃねぇよ!」


 大ぶりの拳をしゃがんで避け、拳を突き出す。が、俺の脳天にその大ぶりの拳が下ろされて…当たった。


「ぐっ…」

「弱いこったなぁ。こいつしか殴ってねぇぞ?さて…そこの女をいただこうか」

「やめ…ろぉ…」


 頭を持ち上げられる。通り過ぎざまに蹴られる。そして視点がレイラに固定された。


「……リュート。あんたくっそ弱いわね」

「うっ……せぇ…。さっさと死ねレイラ…」

「死体愛好家がいそうでイヤよ…」

「魔法は効かないって聞いてなかったか?」


 レイラが悪態をつきながら打った魔法は例の男によって打ち消される。

 …男達がレイラとの間合いに入った瞬間に、レイラの前に誰かが飛び降りた。


「チッチッチ…さっきから黙って聞いてりゃぁ…なぁ。こう言うんだよ。

 威勢がいいのは…内心怯えてる証拠だ…ってよ」


 そいつは格好付けてそう言う。でも悔しいけど格好いい。


「あ?てめぇ誰だよ。お前の所為で気分が台無しだぁ?どうしてくれんだよ」

「人の所為にするとは…責任転嫁も良いところだぜ。さてと…っておい!お前!」


 この前の青年じゃねぇかよ…。相変わらずダッセェ鳥の乗せ方だ…。


ゴシュジンキテルご主人来てる

「てめぇの所為だろ!死んどけゴミカス!」


 青年は空中に高速で指を滑らせた。血が宙に浮かぶ。それが発光して…寸前まで近寄っていた男に当たって弾けた。


「麻痺ぃ~つってな。ごめんなガキの煽り方と一緒で。

 どうも俺は子供なようで。巷では隣の家の6歳児と良い勝負って言われてんだよ」


 なんの自慢にもなってねぇ…と言うか…今の…なんだ?


「は?なんで相殺されねぇんだよっ!」

「あちゃ~治癒陣か~…紅炎の魔法使って相殺しようとしてくれたら仕事減ったのに…」


 そう言いながらも指を今度は手の平の上で動かす。


「そうそう。優しいから麻痺で止めといてやるよ」


 手をすりあわせ、両側に広げる青年。手が目映く光り、男達が一斉に倒れた。


「この組み合わせ最強だな~っと………おいレイ!なんで同じ二人組を俺に教えるんだよ!」

ゴシュジンカレシご主人彼氏イナサソウナオンナヲいなさそうな女をサガセトイッタ探せと言った

「そうだよなっ!いるじゃねぇか!なんならこの前会ったじゃねぇか!」

「イナサソウナ・・・ダ。ゴシュジンハラヘッタご主人腹減った

「俺もだよ!もう金輪際おまえらとは会いたくねぇよ!リア充死ねっ!」


 嵐のような青年は去って行った…と言えばいいのか。

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