第4話 (34)
「レイラ…俺さ…」
「あっ、あそこの串焼き食べましょっ!」
「あ……うん……」
「俺…レイラのこと…」
「ちょリュート、そこ邪魔になってるよ。もっとこっち寄って」
「わっ、す、すいません」
「レイラ…s……すk」
「きゃっ!ちょっともうっ!なんなのよあのおっさん!見てた?いまドンッてぶつかってきて…痛い~……」
「……危ねぇな。こっち側来て」
オカシイ…。何かがオカシイ。告白しようとしたタイミングで必ず何かが起きる。
でもってその時のレイラの顔は…。
推理しよう、俺の告白が三回も遮られるのはレイラが恥ずかしいからわざと言わせない様にしている。
もしくは…ロマンティックに言って欲しい。
いや…やめようか…。だってレイラ…俺に怯えてんだもん。
リュート…ごめん。
そう謝りながらリュートの手を強く握る。そしたらリュートは無言で暖かく…優しく握り返してくれた。
面倒な女だと自覚している。でも怖い。やっぱり怖い。
今…リュートは優しそうな笑みを浮かべてる。けど…それが変わってしまう事が…私に怯えるような顔になってしまうと…考えて頭の真ん中に居座っている。
はぁ…私なんで告白されるときに他の男の事考えてんだろ…。
「ねぇリュート……ありがと…」
「………なんの事だ?おっ、あそこでなんかやってるぞ、見に行こうぜっ」
硬い表情を数秒してから…とぼけて、私の手を強く引いた。
手の繋ぎ方が変わって…少し寂しかったけど…。
手の繋ぎ方を変える。きっとこの繋ぎ方じゃ忘れられないだろうから。
不器用だって自分でも分かるけど…レイラは分かってくれてると思う。
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「はぁはぁはぁはぁ」
呼吸が苦しい。自分のやっていることが怖い。
私は自分の血の所為でこんなザマなのに…その血で私を苦しめるヤツを殺そうとすると…呼吸が荒くなる。
「やらなきゃ…やらなきゃ…いつか殺される…」
ずるい。
初めてそう思った。いや、前々から思ってた。けど…ずるすぎる。
あいつらは皆私を傷付ける事も殺すことも出来る。手札が沢山ある。
でも…私には手札がひとつしか無い。しかも自分を傷付けてようやく殺せる。
「もう……やだ…」
ナイフで自分の腕を切って、井戸の中に自分の血を注いだ。血を止める為に持ってきた布はすぐに赤く染まる。
きっと家に着いた頃には青く変色してるだろう。
「それでも…しんでくれんなら別にいい…」
誰にも見つからないように、急いで自分の家まで走った。
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