第4話 (30)
「まずこの苺のカップルパフェ一つ」
「畏まりました。お飲み物は何になさいますか?」
「レモネード二つで」
「畏まりました。ではごゆっくり」
『まず』?まずだと?……あと何パフェだって?
これから来るであろう物を想像して恐ろしくなるリュートと、それをみて穏やかに笑うレイラがいた。
ーー数分後ーー
「かっ…カップルパフェ……」
ウェイターが持ってきたパフェはハート型の苺が大量に乗っていた。
「はい食べましょ。スプーンはい」
「え…あ、うん、ありがとう……」
レイラが俺にスプーンを渡して、口を開ける。目は閉じられていた。
「…えっと…?どうした?」
「あ、イヤ?『あ~ん』すると思ったんだけど。する?」
「え、ちょ………ちょ、ちょい待ち」
えっと…。『あ~ん』し、したいけど!キモがられるだけだろ!うん!からかってるだけだ!
いや…でもしてみたい。どうすれば…あっからかい返す体でやればいけるんじゃないのか!?
き、キモいけど…男の夢なんだ!許せレイラ!
「あ、そ、そうか。じゃあ……あ~ん」
え……本気でやるの?ゎぁ……。こ、心の準備が……。
口の中に転がされる苺。甘いはずなのに…味が分からない…。
目を開けると真っ赤な顔をしたリュートが…そのくせ幸せそうに私を見ていた。
「はい、次」
繰り返すにつれリュートの顔の赤味がレイラに移るかのように2人の顔の色は変わる。
やべぇ…レイラ可愛い。すげぇ顔真っ赤。もっと顔赤くさせたい。
「可愛いな」
「ふぇ…?ぁ…ちょ……リュートの馬鹿ぁ…」
「ん?なんで馬鹿なんだ?はい、あ~ん」
ヤバい。この高揚感と征服感と達成感と満足感…。クセになる。
「んぅ……」
くっ……自分からからかいを持ちかけたのに…なんで今日に限ってリュートがSなのよ。
しかもこうやって弄られてて嬉しいと思うとか私ヘンタイでしょっ。Mじゃん!うぅ……。
「美味しいか?」
「…味わかんなぃ…」
上目遣いしてるレイラめっちゃ可愛い。ヤバすぎだろ。言い方とか神の極みの
「ん?なんでだ?」
「だってぇ…リュートが…」
「俺が?あ、『あ~ん』はイヤだったか?じゃあ止めようか?」
「…いじわる……」
「ちゃんと言ってくれないとわかんないんだけど」
やべぇ…麻薬やったことないけど多分こんな感じなんだろうな。
止められない。
しかも言い方可愛すぎだろ。
「……ぁ…ぁ~ん…しぃ…てくださぃ…」
「わかった、じゃあ口開けて」
パフェは最後の最後までリュートがレイラに食べさせていた。
割り切ったときのリュートの力は素晴らしい。
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