第4話 (26)

「イヤ。交際したくない」

「は?……あ…ぁ、アハハハ。そうだよな~。いや、ごめん。ちょっと冗談のつもりだったんだが……本気で言うわけないじゃん?

 だって……こうやって振られて関係壊れるのとかレイラに殺される以上にイヤだし~」


 ……ほら、覚悟していた事だろ?大丈夫だ。おう、俺は…大……丈夫…。


「あ、ごめんな。ちょっと外の空気当たってくる。ついでになんか買ってきてほしいものとかあるか?」

「ないわ」

「そ、そうか。じゃ、行ってくる」


 ……馬鹿野郎……。


「はぁ……財布忘れてるし……。

 あんなスラスラリュートが言えるなんて…絶対振られたら冗談めかすつもり…というかそうだったし…。

 …そういうのは本気で言って欲しいのよっ!あのヘタレ!」


 クッションを壁に投げつけてリュートの布団にダイブした。


「もぉ………あのぉ……ばかぁ………えへへへ……」


 リュートの匂いの染みついた枕に顔を埋めると頭が熔ける。

 …気恥ずかしくなって足をバタバタするとリュートの匂いが舞い上がった。


「…ゃった…。リュートに…冗談だけど…"しゅき"って……えへへ…」


 幸せな気分になっている途中で気付いた。


「…あ…あのヘタレだから…もう仕掛けてきてくれない…のかな?」


ーー同刻ーー


「うわぁぁぁぁぁああ!」


 誰も居ない暗い公園。男が1人号泣していた。


「ひっぐ……ぁ…………ぁぁぁ…んっ……」


 …俺の事…好きじゃないって……。…俺の事…好きじゃ……ない?……。


「うわぁぁぁぁぁぁっ!」

「坊主青春だな~!」


 酔っ払ったジジイがリュートに絡みつくが、リュートは嘆いて体を大きく揺すり、ジジイは振り飛ばされる。


「………人生間違えた………」


 とぼとぼと歩く姿はとても影が差していたと聞く。


ーー十数分後ーー


「ただいま……」

「あ、リュート!お帰りっ!」

「……ぁ……んっ…ぐっ……」


 泣きはらした顔をして…私にしがみついてきた。


「なぁ!何が駄目なんだよぉぉぉぉぉおお!」

「え…ちょリュート……酒臭っ!」

「れいらぁ………」


 ……酒臭いのだけは我慢できないわ。ミントの丸薬常備してて正解ね。


「ほら、これ食べなさい」

「れいらぁぁぁぁああっ!」

「………教えてあげるわ」

「何!?俺の悪かったのは何っ!全部直すから!どこがイヤなんだ!?」

「……冗談めかして言うことよ。そういうのは……やっぱり本気で言って欲しい……」

「………」


 さっきから全体重を私にかけるのは止めてもらっていいかしら……。


「……リュート?」

「………」


 穏やかな寝息が聞こえた。……私の恋は成就しそうにない。



^^^^

小さなどんでん返しその1


てかこれで終わると思った?そんな簡単な関係じゃねぇよ二人は。

って感じです

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