第4話 (24)
「うしっ、ちょっと待っててくれ。着替えるからな」
替えの服を着ようとして……レイラの目線に気付けた。
「あ、レイラは……。後ろ向くけど…木の後ろにするか?」
「大丈夫よ。どっか行ってるから着替えといて」
レイラが着替えを持って、川を下っていく……。後ろ姿は天使のよう…。
「さてと。俺も着替えるから後ろ向いとけ」
「あ。はい」
濡れている服に手を掛けた。
ーー数十分後ーー
「はい、百万リルです」
『どうも、あと……もし入金があったらその分を全てこいつらの口座に移しておいてくれ』
「…え?」
『本人確認はいらないだろ?頼む』「じゃ」
百万リルを取って、銀行から出ようとすると…レイラがニヤついてきた。
「リュート、思ってたとおりのヤツね」
「うっせぇ。俺だってそんな鬼畜じゃねぇからな」
「なんの話しですか?」
「なんでもない。よし、じゃあ買いに行くぞ。解呪草だろ?」
ーー数分後ーー
「ありがとうございます。本当に…ありがとうございます」
「ありがとうございます……」
「あぁ、しっかり働けよ。返金はゆっくりで良いからな」
「はい!ありがとうございます!」
「えぇ、体には気をつけてね。じゃあ……さよなら?」
この兄弟に会うことはもう無いのかも知れない…。いや無いか。
だから…『さよなら』の方が正しいか。
「じゃあな」
「あ、お、お礼を…」
「これは借金だ。お礼なんて必要ないからな。じゃ」
…気恥ずかしいな…。こういうの慣れてねぇんだよ。
「照れてるの?」
人混みに入ってホテルに歩き出したと同時にからかわれる。
「照れないっ……事も無い…」
「そう言う正直なところ好きよ」
……ドキッ………。
心拍数が上がる。周りの雑音が消える……。顔が赤くなるのが分かる。
「………ぁ…ぉぅ…」
「ん?どうしたのかしら?顔赤いわよ?」
いつも私に告白しながらも逃げて無かったことにする罰よ!苦しみなさい!
……結構私もドキドキしてるけど。
「…そこのレストラン行こうぜ」
「まだ五時よ?」
「…もういい!部屋に戻るぞ!」
「亭主関白は許さないわよ?戻ろうかって言うんじゃないの?」
「…戻ろっか……」
「うん!手。握ってよ」
最近思う。私はさみしがり屋だと。もう…リュートをそばに感じていないと怖くなる…。
「あ、おう……」
恥ずかしいけど…レイラがそばにいないと心に穴が空いたみたいに風が通り抜ける気がする。
「へくしっ」
「ん?」
「あぁ、いや、寒かっただけかな」
「そ、ホテル帰ったらお風呂入ろうね」
卑猥な意味に聞こえるのは俺の耳が穢れているからだろうか…。
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