第4話(22)
「はぁはぁはぁはぁ……もう…追ってきてないか…?」
「はぁはぁぁはぁぁぁ……多分…」
肩に感じる小さな手の感触。つよく握られている。
「…なんでここにいたんだ?」
「それは……薬草を探してて……」
「ここら辺にあるなら安いヤツだろ。買うのは?」
「…そんなお金ありません…。解呪草です……」
「何それ」
カイジュソウ?聞いたことねぇんだけど。
「知らないの!?一攫千金の草よ!?」
「いや知らんわ」
「マジか…。どこでも育つけど如何せん数が少ないし似たような草が沢山あるから見つけにくいのよ。
…まぁ…それがお母さんの病気を治すために必要で探しに来たって感じでしょ?」
「父さんです…。母さんはもう死にました……」
…これが……九歳の口から出る言葉か…?
「確か百万リルよ。リュートどれぐらい持ってるの?」
「え~と……手持ちはゼロだが…口座にはまだ千万ぐらいあると思うが……。おい、レイラ」
「何よ?」
「確かに俺らが金出せば済む話しだろうけどさ」
服が濡れているのが今更ながら気持ち悪くて寒い。
「じゃあそれで良いじゃない」
「何人同じ境遇の人がいると思ってんだよ!」
「目の前の人を助けたら駄目なの!?結局全部使いもしないのに!?」
「…それぐらい俺だってそうだ…でも…いきなり子供の頃に大金掴んでどうする?
兄貴の方はまだ良いが!弟の方はまだ六歳ぐらいだぞ!
困ったら金がもらえるって思想抱いたらどうするんだよ!
助けを待つだけになっちまう!」
兄の方が俺の背中にいた弟を引き下ろした。
「あの……貸して下さい!お金を!必ず……一生を掛けてでも返します!だから…お願いです!」
「どうよ。良いんじゃないの?」
「……ぁ…ぁの……。僕も……手伝います……。頑張って……働くので……」
弟が初めて口を開く。……分かってたとしても…。
「金を簡単に手に入ると…その方法に頼っちまうんだよ!」
「リュート」
思い詰めたリュートの顔を見る。分かってる。何を思ってるかも。全部。
「私は貸したい。でも全部リュートのお金だから好きにしていい」
元々私に口を出す権利はない。
「…ああ。…じゃあ…おい兄弟」
「はい」
「はぃ……」
「闇営業で稼ぐな。賭け事で稼ごうとするな。やるなとは言わない。それだけ…約束してくれ」
この2人に…アイツらみたいな事はして欲しくない。
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「イカサマしやがったな!」
「言いがかり付けんじゃねぇよ!」
「じゃあなんでそんなに儲けてるんだよ!」
俺の両親はイカサマ師だった。違法なギャンブルの店で大金を稼いでいた。
でも……それがバレた日、殺された。違法な店だから口座までは向こうも手を付けてこれなかったけど…。
俺に忍び寄る手は合った。それを助けてくれたのが…あの双子だった。
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