第4話 (19)

「…さみしいな……はぁ…」


 心理的にも空いた横を見る。手に握っている金は…冷たい。


「…手…繋ごうって意味だったけど…私にそんな感情抱いてないのかな…。

 私の告白も逃げるし…幸せになりたいって言うのは…ただそのままの意味なのかな……」


 独り言が多いなぁ…でも…そうじゃないと…。


「寂しくて…涙出そうだよ…」


 大通り。レイラは寂しそうに息を吐いた。


「…私のこと好きじゃないのかなぁ…。はっ…弱気な声出ちゃってる…」


 そして女性専用の服屋の前を通り過ぎて…。戻って、その中に入った。


ーー数分後ーー


「ぁあ…俺の馬鹿…。なんで…一緒に行けばよかっただろ…」



「無理矢理でも手…繋げばよかった…っきゃっ!」


 ………そして…時間が経つ。


「ん~っ!んっ!んんっ!」

「叫ぼうとしても無駄だ。あんな路地裏との境目にいるのがわりぃんだよ。と言ってももう無駄だがな」

「ん~っ!」

「これからお前を奴隷としてうる。そしたら…その金で一発当てて借金何千倍にして返してやる…」


 狂気に満ちあふれた目でレイラを見る男。

 そのしゃべり方も焦りようも計画の適当さも…誘拐は初心者なのだろうか。

 だが…。


 縄で縛る速さが異常なほど速いっ!なんでこんなに手際が良いの!?誘拐にしては計画ボロボロなのに!


「へへへっ、俺は昔から縄編んで生活してたもんでよぉ。

 けっ、ギャンブルで一発当ててやるから待ってろよ」


 一体全体…何を待てと言うのだろう。どこぞの嫁に言っているのであろうか。


「ん~っ!」


 男がレイラを引っ張って歩かせようとする。が、当然抵抗するレイラ。

 足が縛られている所為で…体勢が崩れて…手が後ろで縛られている所為で顔から地面とぶつかった。


「おい!抵抗するなよ!さっさと歩けこのドブス!」


 …ドブス…?


 レイラの顔立ちはかなり良い方だ。

 告白を多くされるわけではないが、誰もが告白されたなら付き合うと即答できるだろう…。


 だが、そこに切れているわけではない。


「……」

「おいっ!俺を誰だと思ってる!そんな目をするなっ!阿婆擦れがっ!」


 額を打ち付けた痛みを…猿ぐつわとして口に巻かれた布を噛んで堪える。


「早く立て!」


 立ち上がれるわけ無い!手足縛られて立つのに速さを求めるな!


「殴るぞ!」

「……」


 男を睨み付ける。男が足を後ろに引いて……レイラは歯を食いしばり、目を瞑ってこれから来る痛みを待つ。


「ぐっ………」


 そして体がよじれる。呼吸が止まり内蔵が飛び出るような感覚がして…目を見開くと足が後ろに振り上げられていた。

 追撃が…来る。


「がっ………」


 再び引かれる足……。


「{俺のおん……}なかは知らねぇけど!女に手を出すなぁぁぁぁぁあっ!」


 そして声が響いた。



ーーーー

次回、新キャラ登場!

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