第4話(01.5)【抜けてました!すいません!】

ーー数刻後ーー


「まずは高級レストランで食事!」

「……」


 分厚い財布だけど…これで足りるだろうか…。


「ほらっ!楽しまなきゃ!」

「一週間も足りない気がしてきたんだよ!」

「何言ってるのよ!まだ一銭もつかってないわ!」

「これから何千億と使うんだろうがよ!」


 周りから不快そうな目で見られるがなんてことはない。

 楽しい。迷惑行為を掛けるとしても…。こうやって周りに気を遣わずに生きられるのは最高だ!


「その前に服装を整えるわよ!だからあそこの服屋に行きましょう!」


 レイラが指す店は……貴族御用達だったりするかなりお高い服屋。


「あ~…。あの?」

「あ……いや……?」


 突然の上目遣い~!止めるんだ!む、胸がときめく!


「わ、分かった!い、行こう!」

「やったぁ!ありがとリュート!」


 胸がポワポワしてきた…。嬉しいな。レイラが嬉しがってるのを見るとこっちまで嬉しくなる。


ーー数十分後ーー


「この服試着したい!」

「えぇ、どうぞ」


 若干引き気味な店員だが気にしないぞ!分厚い財布は万能だな。渋ってた店員もすぐ入れてくれた。

 男性用の服を見て回ること数分、試着室から出てきたレイラ。


「じゃじゃ~ん!」

「……静かに」


 口から言葉が零れる。静かになった。


「お淑やかに」


 再び漏れる。そわそわがなくなった。


「ゆっくりと上品に回って」


 回る…。綺麗だ…。凄く…。


「わぁ……」


 店員からも声が漏れる。同意だ。綺麗だ…。


「きれ…」

「ねっ、どう?どうかしら?」


 開いていた口が閉じた。台無しだ。勿体ない…。


「あ……うん。良いと思うよ」

「そうじゃなくて!もっと他に!」

「……お客様。凄くお似合いです。旦那様が仰有るとおりに行動すれば…」


 店員のフォローがフォローになっていない。


「え?だ…旦那様って……」


 レイラの顔がかぁぁぁぁっと赤くなるのを見てようやく聞こえた言葉を理解した。


「あっ、それは…っ」

「旦那様ぁ…。ぁ……いい……」

「……(あら…?結婚してないのかしら?)」


 顔赤いレイラ…可愛い……。悶絶死しそうだ。


ーー数分後ーー


「財布薄っ!」

「お似合いのカップル……えへへ…。うれしい…」

「……まぁ……いいか…」


 デレデレしながら歩くレイラはやっぱり可愛くて行き交う人の視線を集める。

 通り過ぎようとした男が口を開いた気がして、レイラの腕を引き寄せて組む。


「あっ……リュート積極的…」

「チッ……」

「イ~だ」


 そして男と俺側がすれ違うように動いて舌打ちする男を振り返った。


「ん?何やってるの?」

「ありゃ……?」

「何?とにかく…行くわよ!高級レストラン!オーッ!」


 あれ?さっきまでのデレはなんだ?行き交う人が残念そうな顔をするのも分かる…。


「リュート乗り悪いわね。せ~のっオーッ!」

「お、オーッ!」


 もういいや。この際馬鹿になっちまおう。


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