第4話(02)
ーー数分後ーー
「レイラ。テーブルマナーは分かってるか?」
「えっと…なんとなく…」
注がれたワインをクルクルとそれっぽく回しながら答えるレイラ。
「じゃあなんで回すか分かってるか?」
「ぐっ……なんなのよ…」
「ワインが酸化するからそこで味と風味を変えるためだ。最初から回すのは
ん~さすが高級レストラン。ワインが美味しいな。
って言ってる俺もあんまり知らないんだけどな。
「ぐっ…」
「あと持ち上げるんじゃなくて滑らせるようにだ。更に右利きなら反時計回りに。
相手の方へ飛び散らないようにする配慮だ」
「くっ……ううぅ……」
へへん。ちゃんとしたお家柄なもんでね。どうだ~悔しいだろ~。
「わ、私だって知ってるわよ。ナイフとフォークは外側から…」
「常識だ。反抗して内側から使う奴とかいねぇよ」
「ちぇ……」
ウェイトレスさん。五月蠅いですけど堪忍してくれよ。
目の前に置かれたパンを取る。
「わぁ……ふわふわ…」
「千切って小さくしてから食べ……もう食べちゃったか…」
「
「あちゃ…パン屑飛んでる。食べながら喋るなって」
安心感のある音楽。それぞれが小さく喋ってそれが合わさってようやくガヤガヤとなる喋り。
そこに似つかないレイラはどうするべきか…。
「ん~っ!んぐっ……」
喉に詰まらせたのかワインで流し込むレイラ。口の端からワインが一筋垂れた。
頭が痛くなってくる…。はぁ…端っこの席でよかった。
「あ~あ。ほら。垂れてるぞ」
仕方なくレイラの後ろに立つ。そして手を伸ばし、ナプキンで口を拭いてやった。
「ありがと…。かんしゃするわ」
「上品ぶっても今更だっつーの」
「でもさ、こう言うのって似合わないけど楽しく食べたいよね」
はぁ……。よしっ!今日何度目かの馬鹿になろう!
「そうだな。よしっ、あと数日の命だ。好きに生きさせてもらうか」
「うん!」
パンを取って、千切らずにオリーブオイルを付けた後、そのままかぶりついた。
うめぇ。ふわふわだ。
「おいひいへ」
「あぁ…おいひい」
周りの目なんて気にしない。今は…目の前の人と楽しけりゃそれでいいか…。
ーー数十分後ーー
「おいしかった~」
「おいしかったな!これからどうするよ」
「ん~…夜の街!探索開始~!」
「おっけ-!んじゃ行くぞ~!」
「「オーッ!」」
寝る時間だって惜しい。俺は自分の人生を謳歌してやる。
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