第4話(14)
「ん……あれ……?」
あぁ…そっか。昨日一緒に寝たのか……。
この二日間で気付いたことがある。
リュートは私より起きるのが遅い。リュートの寝顔は格好いいように見えるけどあどけなくてドキッてさせられる。
「………ぁ……」
そして頭の中によぎった光景。もし私とリュートが裸なら事後であると…。ってなんて事を……。肉欲に溺れる気は無い…。
「で、でも……これぐらいはいいよね……」
堪えきれず昨日と同じように自分の顔を近づける。そして…唇を当てた。
ただの接触なのにドキドキする。
「……はぁ……。なにやってるんだろ…。リュートが起きる前に顔洗ってこよ……」
「……ゃ…。ぃかなぃ……で……」
ベットから降りようとしたとき、手首を掴まれた。
なんだろうこの生物は…。格好いいくせに…怖がりで…。今みたいに女々しいことを言う。
「…仕方ない事…レイラ、これは仕方ない事よ。頼まれたからやるだけ……」
自分の名前を間違える。でもそれほど、沢山呼ばれた。
自分の名前は逡巡しないと出てこない。
「よしっ……」
そぉ~っと意気込んで布団に入った。同時に手首が放されてもの悲しい……。
が、すぐに腕にすがられ、頬ずりされた。
って……作文みたいに言ってるけど私は……我慢できなくなってリュートの頭に手を伸ばした。
リュートがピクッて跳ねて、そのあと安心したように顔を綻ばせた。
ーー数十分後ーー
「おはよ」
「え……どうして…ここに…?お、俺のベットだよなっ!?」
なんでレイラがここに…。昨日みたいな悪夢を見たからか?
それでここにいるなら俺を頼ってるって事…。つまり…俺が好き…って事か!?
「あのねぇ……昨日すっごい魘されてたからね。手を握ったら放してくれなかったの」
「へ?」
「で、しかも朝起きてベットから降りようとしたら降ろしてくれないし」
なっ……お、俺はなんてことを………嘘だろ…?そんな馬鹿な……。
「ほんとの事よ。なんなら私の腕に頬ずr…」
「止めろ止めろ止めっ……ギャァァァッ!ご、ごめん!」
押しのけるように腕を伸ばして……あぁ、振れてしまった…。
その……胸に……。感触よかっt…何を言ってるんだ俺は!
「…ヘンタイ……」
「ちょっ!ごめん!か、顔洗ってくる!」
レイラのちょっと熱っぽいジト目も俺を引き留めようとする手もスリッパも無視して洗面所に駆け込んだ。
「俺……。最近オカシイぞ……。どうかしてる……」
鏡に映る自分を見る。頬は涙が乾いてカピカピだ。
「ラッキースケベも良いとこだが……寿命もあと少しだけど……」
"そういうこと"をして気まずい関係にもなりたくないし肉欲に溺れて寿命尽きるのを待つのもイヤだ。
ーー同刻ーー
「あっ、オウム…?」
ベランダの柵にオウムがいた。黄色のオウムだ。
窓を開けて近づくけど、賢いのか全く動じない。
「ねぇ、貴方はどこからきたの?」
「………」
答えるようにオウムの口が開き掛けて……結局閉じた。
「パンいる?ちょっと待っててね」
部屋に戻ってパンを取り、千切って柵の上にのせる。オウムは私に頭を下げてからそれを食べた。
「……ふふふっ……自由でいいわね」
「…ジユウハオマエダ。カンシャスル、アオイチ」
「えっ……?」
オウムが喋ったような気がして…真っ青な空に飛んでいった。
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