第4話 (12)
ーー数分後ーー
完全に太陽が沈んだ。水平線に消えかかる最後の最後まで見ていた……。
「……綺麗だったね……」
同時に空に瞬き出す沢山の星。
「あぁ……綺麗だったな…」
日が沈むとあたりはかなり暗くなる。遠くの方で園内の賑わう場所の光が見えた。
「…お土産買うか?」
「……いい……。夢みたいだったね…」
「……夢……だな。……ごめんな」
「謝ることないわ…。リュートのお陰で楽しめてるから…。
あのときあそこで邪魔になってくれなかったら…」
おい。邪魔になってくれたって…言葉選べよ。
まぁ…いいところだし話しの骨は折らないでおくか。
「あぁ……」
「多分……っ…ずっと1人で……研究してたと思う……」
「…研究か?」
「えぇ……だって…。私両親に捨てられてさ…。物心ついた時からいつも1人で…。
誰にも覚えてもらえないで死ぬのが怖くて…。名前残したいって…。醜い願いでしょ?」
涙を流して自嘲するレイラに…なんか言えばいいのに…言えない。掛ける言葉がわかんねぇ…。
俺が言えることがあるのか…わかんねぇ…。でも…。
「…俺はなんでもいいよ。今のレイラが好きだから。
醜い願いとか家族がどうだとか関係ない。少なくても俺は今のレイラが好きだ」
レイラの顔がぽかんって…なった。
「…いいの?」
「正直相談乗ってくれたからとか、雰囲気だとか、可愛いからだとかそんな不純な理由の方が大きい気がする。
でも俺は好きだから……だからなんだって話しなんだけどさ」
はぁ。俺は馬鹿だな。こんなこと話してどうなるって言うんだか。
「さっ、早めにここ出て安い飯でも食わねぇか?昨日の店はちょっと合わなかったからさ」
「…リュート……」
「ん?」
「私も……好きだよ……」
……?なんでいきな……り……じゃなくて俺が今!
「あっ、あれはレイラの事が凄いいい人だな~って!そう思って!いい人だから好きだって!うん!」
俺は何を言ってるんだ!泣いてる女に告白とか弱みにつけ込むみたいじゃねぇか!
「ご、ごめんな!ほんと!で…?なんて言ったんだ?ごめん聞こえてなかった!」
「………リュートのばかっ!」
「え?」
「もう知らない!」
勝手に怒って歩き出すレイラ。訳が分からずその手を掴んだ。
「お、俺は……」
「もういい!この嘘つき!」
話しかける言葉が見当たらなかった。
ーー数刻後ーー
「なぁ……ごめん。なにが悪かったんだ?もしかして好きって言われて気持ち悪かったのか?」
「……私の乙女心をもてあそんだ所為よ!」
…乙女心⇨恋心?そう考えるのが普通だよな…。
仮だ。これは仮だ。俺が好きと言ったからそれを
いや…ナイナイ…。ない…よな…?でも…俺に惚れない理由ってなんだ?
いや、オカシイだろ!どこのナルシストだ。でも…同じ部屋で寝泊まりしてるのを嫌がらないのは…。
違うか。信用の証だし、俺を気遣ってくれてるだけだ。
「もう寝るわっ!お休み!」
「あ……うん…。おやすみ……ごめんな。レイラ」
明日には機嫌が直ってると良いんだが…。
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