第4話 (05)

ーー数分後ーー


「ふぅ…いい風呂だった…」

「ね~。最高だったわ。まだ十時だけどどうする?」

「どうするって?」


 こいつは何を言ってるんだ?早く寝て明日に備えるべきだろ。


「まだ楽しんでないこと…楽しむんでしょ?」


 布団を足に掛けて誘い込むようにペラリと捲る…くっ……白い生足が艶めかしい。


「な、何をだ?」


 顔が赤いのがわかる…。くぅ……まさか…。


「そりゃ…あれよ。夜の……」

「なっ!それは!……」

「興味ない?」

「きょ、興味が無いって訳ではないけど……って違う!」


 俺は別にそういうことを望んでいるわけではない……よな?


「……そ。まぁいいわ。お休み」

「あ、あぁ…おやすみ……」


 一瞬レイラが悲しそうな顔をしたのは気のせいだよな?


「って先に寝るんかい!」

「五月蠅い。さっさと寝て」

「す、すまん……」


 ベットに潜る……。眠気はすぐに押し寄せた。


====


「フルシュ大丈夫かしら?」

「替えのタオルです。はい」


 メリッサとダーナがのぞき込んでる…。あぁ、風邪引いたのか…。


「ふぅ、よかったですわ…」

「えぇ、フルシュの事ずっと看病してたんですよ?」

「あ……ありが…と……う……」


 あれ…?声がかすれてる?体が思うように動かない。


「えぇ、それで?どちらを選んで下さるのかしら」

「勿論私ですよね?」

「あ……ぁああ…ああ……」


 背景が…黒く塗りつぶされる…。メリッサはベールの唯一隠さない口元を歪め…ダーナの手には光る刃が…あった……。


「ど…どっちも……選びたくない……」


 同時にナイフが…精神的な痛みが……。


=====


「ハァハァハァハァハァ……。ゆ…夢か……」


 ふかふかの布団。横の布団には…レイラが居る。


「やぁ………お、お金……足りません…かぁ……」

「……レ…イラ?」

「ヤダ!ヤダヤダヤダヤダ!死にたくない……」

「……はぁ………」


 布団を剥いでレイラの横に座った。ちょっと…いやすごい…ドキドキする…けどそれ以上に…安心させたい…。


「大丈夫だ……。いや…全然大丈夫じゃねぇけど…。精一杯楽しませてやるからな……」


 乱れた髪を梳く。良い匂いが漂う。

 あぁ、女の子の匂いか…。髪の毛も暖かい…。

 布団に置いていた方の手が掴まれた。そのままレイラの額に当てられる。

 あの2人と違って暖かい……。


「…死にたくない……から…。死にたくない……」

「……あぁ……。俺もだ…。って寝てるのか……」


 月の光が差し込む…。ちょっと光は冷たいけど…別にいい。

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