第5話

ーー数日後ーー


「今日はここのパフェを奢って貰うわ」

「はぁ…分かったよ…」


財布が薄い…。でもレイラの笑顔を見ているとまぁいいかってなってしまう。


会計を済ませてカフェを出ると…影が舞った。


「ねぇ…選ばずに他の女と遊ぶってどういことかしら?」

「どういうことですか?」


聞きたくない声が聞こえる。そして気づけば路地裏にいた。


「メリッサ…ダーナ…」

「…貴女たちがその双子ね」

「貴女と話す口が惜しいわ」

「邪魔ですよ?」


レイラに襲い掛かるダーナ。その袖には光るなにかが見えた。


「グッ…ハッ…」

「リュート!?」

「えっ!?」

「なっ!」


胸が痛い。


「へへっ…。っ…俺の…大切な…」

「リュート!喋らないで!」

「ちょ!ち、治癒を…!」

「え…わ…私…」


でも…風穴が出来た…。


「人に…っ…」


膝が地面に着く。腹がヌルッとした何かで濡れた。


「手を…出すな…」

「フルシュ!」

「ふ…フルシュ…血…血が…」


首を何とか曲げてレイラを見る。レイラは少し笑っていた。

そしてそこにダーナが襲いかかって…止められなかった…。

俺の横に倒れるレイラ…。


「フル…シュ…って…言うのね…」

「あ…ぁ…ま…もれなくて…ごめん…」

「私の…名前…」


叫び声が聞こえるような気もする…。

レイラ…彼女の口が動く…。


「……」


あぁ…最後の名前も…聞かせて…くれないのか…。

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