第24話 ぽっぽ君、家出をする。
これは、少し、昔の話。
哀れな飼いひよこであるぽっぽ君は、こーちゃんが、親子連れで歩いているところを見てしまった。ぽっぽ君は泣きながら巣に帰ってしまった。こーちゃんと親子連れが家に入ってくる。結婚おめでとうという言葉が聞こえ、ぽっぽ君は絶望し、家出の準備をするのであった。
ところでぽっぽの奴はどこに行ったんだ?今日はめでたい日なのに。お前もこの方々の結婚を祝えよ。そうこーちゃんが呟いて、巣を見ると、ぽっぽ君の手紙だけが置いてあった。
今までありがとうこーちゃん、幸せだったよさようなら。
こーちゃんは真っ青になり、知り合いの親子連れを置いて、雪が降りしきる夜に駆け出した。
ぽっぽ君はアパートのゴミ捨て場の段ボールの中で寝ていた。雪で身体がかなり湿っている。何しに来たのこーちゃん。結婚おめでとう。家に戻れよ。何勘違いしてるんだ。ぽっぽは所詮ひよこだからこうなると思った。出ていくね。ごめんなさい。こーちゃんが震える手でぽっぽ君に触ろうとするとぽっぽ君は拒絶する。小さな葉っぱの傘をさして、また別のどこかに行こうとする。
け、結婚したのは僕じゃないよ。いいから、いい子だから戻りなさい。戻りなさい。こーちゃんは真っ青だ。
こーちゃんはぽっぽみたいなひよこなんかより、大人の女性がいいでしょ。今日だってぽっぽは昼まで寝てた。こーちゃんにふさわしくない。
こーちゃんはぽっぽ君の前に泣きながら倒れ込んだ。ぽっぽ君はそんなこーちゃんを見て、身体をさすり、小さな身体で、アパートのドアを開けた。親子連れはもう帰ったようだ。ぽっぽ君は、こーちゃんをベッドに寝かせ、背中を撫でる。こーちゃんが寝言なのか呟く。
僕は、君と同じで、君がいないと何も出来ません。
ぽっぽ君は、少し安心してそのままこーちゃんと一緒に寝てしまった。
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