第22話 こーちゃん、倒れる。

ぽっぽ君は、引き車に熱射病になって倒れたこーちゃんを乗せ、泣いている。引き車には【親子バカ一代】というのぼりがついている。えーんえーん。こーちゃん、こーちゃん、誰か助けて!このウェーハースをあげるから!そんなお菓子と可愛いワンピースで私を騙せると思うのかね?あんな講師、熱射病で死ねばいいよ。と通りかかった大学の教授らしきものが言う。


ぽっぽ君は子供用携帯で内閣総理大臣に電話した。こ、こーちゃんが倒れた!なんでもするからなんとかして!この内閣総理大臣は派閥に囲まれ、右に寄りがちに見えるが、ぽっぽ君のことは気に入っていた。ではまず救急車を呼びなさい。番号は119だよ。こんなんで投票しろとは言わないから、さっさと見てもらいなさい。ぽっぽ君は泣きながら119を押した。


それと救急車を待つ間も、周囲の人に呼びかけて涼しい場所へ移し、からだを冷やしなさい。


ぽっぽ君はこーちゃんの洋服を脱がせ、冷水を浴びせる。ぽっぽ君はなぜだかわからないが照れてしまった。こーちゃんの容体を気にしつつも、上半身を裸にした雄くさい肉体を見て、不安と恥ずかしさを感じていた。


次に冷たい濡れタオルを当て、うちわなどであおいで冷やしなさい。と、内閣総理大臣。


うーん。ここはどこだ?こーちゃんが目覚める。


だ、大丈夫?こーちゃん。もうすぐ救急車が来るよ。


ふーむ。お遊戯の練習をしてたからか。僕ももう歳かな。念のため近くの病院で診てもらうか。君もね。ありがとう。


ぽっぽ君は、こーちゃんにありがとうと言われたことはなかったので、とても嬉しそうだ。こーちゃんが抱きしめようとすると、ヒイイと言ってぽっぽ君はどこかへ行ってしまった。あ、あいつなんなんだ。褒めてやったのに。






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