第9話 いい子にしなさい。

哀れな飼いひよこであるぽっぽ君は、ぬいぐるみに囲まれ、今日も眠っている。朝、起きる時は、こーちゃんに抱きしめられた後、一つ一つぬいぐるみ達にあいさつするのが日課だ。こーちゃんがそばにいない時は、ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ、ぬいぐるみにリボンを付け、ぬいぐるみを引き車に乗せて散歩している。ぽっぽ君はなにゆえ自分はこーちゃんがいないと何もできないのか悩みを抱えている。それは君が赤ちゃんだからだよ!そのままでいいよ別に!とこーちゃんはいつも言っているのだが、本当はこーちゃんのように研究して、勉強したいと思っている。ぽっぽ君はこっそりとこーちゃんの研究室に侵入し、引き車に本を入れて読もうとすると、いいからお前は絵本でも読んでろ!それにしても勝手にくるとは……。お菓子とジュースとおもちゃを持ってくるから静かになさい!と言われる。ぽっぽ君は持ってきたぬいぐるみ達をなでている。こーちゃんはそんなぽっぽ君を見て、頭を撫で、抱き上げる。いい子にしなさいね!頑張るよ、こーちゃん。でもぽっぽも勉強したい。じゃあここにある好きな本を読むか、近くの北星図書館にでも行きなさい。僕も研究のために北星図書館に行くから、君もついてきなさい。こーちゃんがぽっぽ君のぬいぐるみとおもちゃを取り上げようとすると、ぽっぽ君は泣き出してしまった。こーちゃん!こーちゃん!やめて!僕がいるから大丈夫だろ?仕方のないやつだな。こーちゃんは子供向けのぬいぐるみの形をした小さなバッグにぽっぽ君のぬいぐるみとおもちゃを入れ、ぽっぽ君に渡すと、ぽっぽ君はそれをぎゅっと抱きしめ笑顔になった。で、何を研究するの?せ、世界平和……このぬいぐるみで。君は研究をなめてるのか!……うーむできないことはないが……。こーちゃんごめんね。ぽっぽは頭が悪いんだね。もう帰るね。こーちゃんは慌ててぽっぽ君を肩車し、高い高いをして、向かう前に、僕の研究室の中にも気に入った本があるなら読むといいよ、と言い、2人で北星図書館に向かった。ここの資料や蔵書検索は素晴らしいものがある。いいから絵本でも読んでなさい。ぽっぽは研究する!研究するの!みんなで手をつないで遊べばいいのにどうして平和にならないんだろう。ぽっぽはわからない。君はわからなくていいよ。

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