第8話 君だけが特別なぽっぽ君。

こーちゃんは、ぽっぽのことを、好き、嫌い、好き、嫌い、好き……。哀れな飼いひよこであるぽっぽ君はこーちゃんに肩車をさせられながら、散っていく花をこーちゃんの頭に乗せながらつぶやいていた。季節は春で、大学は今お祭りをやっており構内にはポプラの綿毛が散っている。周りには三角コーンを頭に乗せた子供が走り回っている。ぽっぽもあれ頭に乗せたい!こーちゃんお願い!リヤカーに学生が女学生を乗せて引いていると、ぽっぽもこーちゃんをあれに乗せて引きたい!引きたい!と騒ぎ出した。


いい加減にしろ!君はこの世の平均的な人間より高い値の分散を示している。小さな身体の方もそうだけど、頭も性格もな!だから引き取ってやったんだ!感謝したまえ。ぽっぽ君はわかったよこーちゃん。ごめんね、と丁寧に謝った。


ぽっぽ君は肩車からおり、こーちゃんに着せられたダブダブの大人用のシャツの両手──手が袖の下に隠れてしまっている─を振り回した。わたあめ買ってあげるからおとなしくなさい。ぽっぽ君はもう一度こーちゃんに肩車され、出店の店員さんからわたあめを受け取った。出店には留学生が子供を連れ、子供は流暢な日本語で接客している。こーちゃんはお店しないの?ぽっぽもあれやりたい。君はまだ小さいから無理だよしかし世の中の仕組みの勉強にはなるだろうな。よし、今度の学祭で、アイヌの人たちを呼んで、アイヌ料理のお店を開くから、君は接客してるといいよ。ぽっぽ君は万歳をして、肩車から落ちそうになったがなんとかこらえ、笑顔になった。



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