少年

少年は長いことひとりで遊んでいる

鬼に呼び掛け、影を踏みつけ

棒を振り回し、草を斬り倒しながら

寝静まった住宅地の公園で

声も立てずに遊び続ける

月は蒼ざめた光を石像に投げ

性の幻惑へと誘い出す

少年は冷たく美しい乳房に手を伸ばし

逝き遅れた秋桜は訳知り顔で揺れながら

侮蔑をこめた視線を送る

少年は女神の大腿に

自分の足を差し込みながら

愉悦と恥じらいの赤みを帯びている

星がひとつ

どこかに落ちた

その音に撥ね飛ばされた少年は

手を離す拍子に正気に返る

自分の醜い行いを恥じ

砂を掴み苦々しく宙に撒く

蒼白い月光は

俺のものだと言いたげに

女神の胸を滑り落ち

ブランコは不機嫌な声をあげながら

キイキイと自分勝手に揺れている

それを横目でチラリと見やり

そして、また

少年はひとり遊びを繰り返す






















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