彼処まで

自転車に乗った学生が

颯爽と

青春を孕んで

坂道を下って行く

擦れ違う老人は

一歩、また、一歩

自分の重さを悔みながら

空へ、空へと

祈りに似た歩みを続ける

僕は暫し立ち止まる

落日を潜ませた曇天の

遥か向うに海がある

聞こえぬはずの潮騒に

耳を欹て

言い聞かせる

彼処だ

彼処まで

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