抱っこと拘束(おまけエピソード)
日向:………零君、ちょっと此方へ来てくれませんか?
(零は数秒躊躇った後、恐る恐る両手を広げた日向の懐に収まる。だが身体を触れるわけでもなく立ち尽くしている)
………どうして、抱きついてくれないのですか?
零:抱く、とは何ですか。拘束なら分かりますけど……あの、これはお仕置きではないのですか?
日向:(一体貴方は今まで、この体勢でどんな"お仕置き"を受けてきたのでしょうか。
想像するだけでも、心が痛みます)
零:……………………日向、様?
日向:あ、ええと…これは"お仕置き"ではありません。もう少し此方へ寄りなさい、私の身体にもたれ掛かって結構ですから。
零:………わかり、ました。(意味が、分からない…)
(日向が零の身体を抱き締めた瞬間、零の身体が硬直する。"それ"が恐怖からくるものだと悟った日向は零に見られぬよう、表情を翳らせた)
日向:そう、身構えなくて構いません。むしろ身体の力を抜いてくれないと……
零:ごめん、なさい…日向様。身体が言うことを聞いてくれません……力の抜き方が、分からないです。
日向:そうですか。落ち着かないでしょうが、もう少しこのまま居てください。
(まるで、昔の私を見ているようで……やりきれない気持ちになります。何のために私は、諜報部隊の長を務めているのでしょう。
助けてくれたイドへの恩を、返すためではなかったのでしょうか……。これでは報いることができないですよ……ね……)
魂の償い 限前零 @rieru_sai
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