従者の言葉
エル:死者に仕えているのか?そもそも盟約とやらはどうなったんだ。
酣:……正確に申しあげるのなら、私達の盟約が効力を失うのは…主様が成仏してからです。
なので………音無も、私同様に主様へお仕えし続けていますよ。なので………お望みなら主様とも話せますよ、日向様?
日向:……!わ………私は、そんな……
(話を振られた日向が目に見えて怯えている様を見て、酣は悲しい表情になった)
酣:……失言、でしたか。申し訳ありませんでした。(いまだにあの事実が重くのし掛かっているのですね、日向様………)
(日向は酣を直視出来ず、エルの懐にしがみついてしまう。涙が溢れて止まらないのか、時折鼻をすする音がする)
エル:………すまん。師匠を休ませてくる。後で話を聞かせろ、色々聞きたい事があるからな…
酣:……ええ、承知しました。
(日向様……?主様は、恨んでなどいませんよ。むしろあの時と変わらず接してくれますし…そう望んでいると思います。)
エル:………待たせた。"あの事件"から何年ぶりだろうか……な、人斬りの従者よ。
酣:……五年、ですね。
エル:五年も経って何故、人斬りは成仏していないのだ?
酣:主様は……とある償いの条件に、縛られているのですよ。それを果たすまでは………死ぬことすら赦されないのです。例え不死の身体が使い物に成らなくなっても。
エル:条件、か。償いのきっかけは何なのだ……?死すら逃げとされるような内容なんか………
酣:……申し訳ございません。私の口から明かすことは禁じられていますので。
エル:ならば仕方ない。話題を変えようか………そもそも何故お前が、あの幼子の側に?
酣:私達は…とある富豪の屋敷で出逢いました。
エル:………富豪の屋敷……か。まさか?
酣:ええ。エル様もご存知なのでしょう……殺人事件の起きた、あの御宅です。
エル:なら、日向様の言うとおりだったのか……あの幼子が事件の関係者だと言っていたのは。
酣:………なるほど。"関係者"ですか…まさかこんな形で日向様と再会することになるとは、思いもよりませんでした。
エル:せっかく新たな関係者に出逢ったのだ、お前からも事件の話を聞かせてもらおうか?
酣:かしこまりました。私が知りうる限り、包み隠さずお話します。
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