奴隷の目覚め
日向:………私は…イドに会わせる
顔がない…………っ…
2度と会う資格はないと………
それなのに…どうして貴方は………
エル:(師匠…やはりあの時の事を?後から伺った事だが、自死を思うほど追い詰められたらしい。
人斬りの従者が説得して何とか思い止まらせたけど…時折思い出しては酷い発作に陥ってしまう。
ただ…今回の場合、突然脈絡もなく思い出すフラッシュバックとは違い、もっと明確な何か……トリガーに触れてしまったのだろう。
もしそのトリガーを引いたのがあの幼子だとすれば…いや、それは傲慢か。師匠がそれを望まない。
発作と闘ってでも面倒を見ようとする、そういう性分だからな。そういえば…何故師匠はあの幼子を保護すると決めたのだろう。………起きたら教えてくれるだろうか。)
零:…………?(ここ…どこ?おじさんの声も聞こえない………!怖い……)
(パニックに陥った零は動かない身体を引き摺って寝床から落ちた。それに気づいたエルに捕まってしまう)
エル:大丈夫か?此処に追手は来ない。だから今はまだ休んでいた方が…
零:剣を………返してください……どこですか……っ!
エル:………剣?枕元に置いてなかったか。錆びて抜けないやつだろ?
零:え……?(取られて…ない………?)
(エルは零を抱き上げると元の寝床に戻してやる。零は枕元の剣を見つけると安心したような表情になり抱きしめて眠ってしまった)
エル:(自分の体調すら気にも留めず剣を捜すとは………曰く付きにしても妙だな。
いや………そうか。形見の可能性があったな。野暮な疑いをしてしまった。処置に邪魔で外したが今後は遠慮するとしよう。)
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