優しい嘘1

<日向突入の直前>


イド:………っ。不老不死も効かんがか……(血ぃ、流しすぎたか……啖呵を切ってこれや。わしもヤキが回った…の。)


酣:……如何なさるおつもりで?日向様が此方に向かってます…その様子では一目でお分かりになるかも知れませんね。


イド:………のぅ、酣よ。わしゃ日向を欺く。


酣:なっ………ま、まさか…(本気か、と伺うのは愚問ですか。)


イド:わしかて不本意じゃが……日向を連れ帰るんはこの方法しかない。あいたぁの性分はよぅ分かっとるつもりじゃ……。手負いのわしに構おうとするじゃろう。敵地の真っ只中でもな。


連中の格好の餌食や。むしろ…それが狙いなんじゃろう……。それだけは阻止せなあかん。


ほれに…仮に日向が傍に居っても…もう手遅れよ。わしが生き残る可能性は残っとらんねや。


酣:果たしてそんなに巧く、日向様を欺く事が可能なのでしょうか。仮にもお医者様なのですよ。


手遅れならばなおのこと…


イド:………忘れたか、酣よ。わしゃかつて日向を完璧に欺いた。


あん時はわしの身体を調べようとしとったんやで、今回も………な。


酣:そう、でしたね…(私もあの場に居合わせました。あの時の日向様の慌てよう…懐かしいですね)


イド:………わしが逝った後は…


酣:主様、何も仰有らないでください。私共に全てお任せくださいませ……。


イド:すまんの、酣。最期まで手を煩わせることになってな…


酣:良いのです。盟約で結ばれた……従者、ですから。(申し訳ありませんね…日向様。今回ばかりは恨まれても、文句も言えませんね…)

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