堕ちた人斬り5
音無:人はそれを…"絆"と呼ぶそうですね。簡単には切れない想い……
日向さん。辛いからって…簡単にその"絆"を手放そうとしないでください。手放した方が楽に思うでしょうが……それは違います。
日向さんの気は確かに楽になるでしょう。現に主はその哀しみを背負わせる位なら……と誰とも深い関わりを持とうとしなかった。始めから知らなければ、そもそも哀しみを知ることもありませんからね。
ですが……そんな主でも、日向さんだけは別だった。立場の違いも越えて…全てを託した。今ここで日向さんがその絆を手放せば……主は、裏切られて…本当の意味で独りになってしまう。
今までの主は……人に裏切られる哀しみや苦しみが少ない代わりに、人の側に居る暖かさや頼もしさもほとんど無かった。
"人斬り"という立場上仕方がないと以前主は言いました。半分正解ですが……もう半分は違います。誰かと絆を結んでも……自分のせいで裏切る結果になってしまうのではないか…?
それをずっと恐れていたんです。罪もない人を傷付けてしまう事態だけは避けないといけなかった。
だからずっと頼ろうとしなかったでしょう?根は優しい主だから…
(音無は哀しい笑みを浮かべた)
……ほんと、不器用な人でしたよ。幸いなことにそれを苦痛と認識してはいなかったんですが。
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